【中山大障害】二刀流のレジェンド・熊沢重文元騎手が経験を基に年末の大一番を語る!

伝説、登場。騎手生活37年、JRA史上最多、障害通算257勝など数々の歴史を塗り替えてきたレジェンドジョッキー・熊沢重文元騎手。中山大障害、有馬記念を両方制覇するという離れ業を演じ、大障害コースを知り尽くす大ベテランが、年末の大一番の展望、そして自らの経験をじっくり語る。

中山大障害・鉄人のミカタ

障害で乗っている者からすると、中山大障害は1番のイベントですから力が入りますね。馬を良い状態でここに連れてくることが特に難しいレースという印象もありますし、距離も長いタフなコースなので全てが上手く噛み合わないと良い結果に繋がらないでしょう。

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この大障害コースでしか使われない大きな障害もありますし、それを飛越する人馬が一見簡単に飛んでいるように見えるかもしれませんが、人馬のコミュニケーションがしっかり取れていないと上手くいきません。

大障害コースを走れるようになるまでにどれだけ人馬が苦労してコミュニケーションを取ってきたか、というところも踏まえてレースを見てもらえればと思います。

今年のメンバーには僕が乗せてもらった馬が2頭いますが、どちらも良い馬でしたよ。マイネルグロンは未勝利戦の頃に乗せてもらいました。今は3連勝で重賞まで勝ちましたから、僕の想像以上に馬が成長しているのかもしれません。G1どれだけやれるのか気になりますし、頑張ってもらいたいです。

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残念ながら回避となりましたが、10歳馬ケンホファヴァルトも乗せていただいていただけにこの舞台で観たかったところです。メンバーを見渡すと…、やっぱり一目置くのはニシノデイジーかな。去年ここを勝っている実績は大きいですよ。

中山大障害・鉄人のプレイバック

2012年の中山大障害をマーベラスカイザーで勝たせていただきました。初めて乗った時は「良い馬が回ってきたな」と思いましたね。障害練習のときからバネがあって上手なトビをしていましたし、背中も良くて血統的に距離も大丈夫でしたからね。

この馬くらいかな、練習の段階から「この馬で中山大障害に勝てなかったら、一生勝てないかも」くらいに思ったのは。それくらい素質を感じました。

障害初戦も出遅れたりザックリした内容の競馬でしたが、それでも楽勝したように力が違いました。ただ体質に弱さがあったのか、骨折をしたり休むことも多かったですね。

瞬発力とかスタミナとか何かが突出しているようなタイプではなく、総合力が高く障害馬として完成されているタイプでした。能力の高い馬にはよくあることですが、能力があって馬に余裕がある分レースの最中でも他のことが気になる、という素振りを見せることもありました。

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障害未勝利を楽勝した後は馬が骨折して休みましたが、僕自身のケガの影響もあってその間はマーベラスカイザーに小坂騎手と北沢騎手が乗りました。それでまた11月の京都のオープン戦で僕が乗せてもらうことになりましたが、戻ってきてくれて本当に有難かったですよ。1回手放した馬がそのまま戻って来ない、ということもよくありますから。

その京都のオープン戦は仕上がり途上の感じがあって、ここを使って良くなるだろうなと思っていましたが、中山大障害ではその通りに状態が上がって良い仕上がりで臨めましたね。

レースでは想定通りにスタートがゆっくりだったので、ボチボチ行こうかという感じでした。1つ目の障害まではそれなりに押していきましたが、すぐに好位を取れましたし折り合いもついて良い感じで進めました。

3コーナーのバンケットを上がっていくときにも手応えがありましたし、最終障害の手前辺りで前の馬との差をスッと詰められたので「これなら!」と思いました。

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あとはあまり早く先頭に立って馬に遊ばれてしまうのはイヤだな、と思ったので動き出すタイミングを考えて乗りました。自分が障害馬として作ってきた馬ですし、体質の弱さがあって苦労して時間がかかりながらも勝てたことを考えると本当に嬉しかったですね。

またマーベラスカイザーの担当厩務員さんが持ってる人だったんですよ。その方はマーベラスサンデーも担当されていたので、マーベラスカイザーはかつての担当馬の息子、しかも中山大障害が定年引退というタイミング。持ってますよね!あのレースは馬でも僕でもなく、担当厩務員さんのパワーが一番大きかったのかもしれません(笑)