競馬YouTuberとして一躍名を挙げ、各媒体に引っ張りだこの佐藤ワタルが、地方&海外レースを展望。若くして人並み外れた知識量、分析力を披露する。
【仁川S】舞台の違うアノ競馬場の実績重視!
2019/2/22(金)
プロ野球はキャンプ真っ只中。次第に練習試合も増え、オープン戦開幕の足音も聞こえてきた。我らが阪神タイガースはというと、例年通り練習試合の調子は悪くない。オープン戦までの結果はいいのだが、その後開幕すると次第に失速、6月を過ぎれば虎が近所の飼い猫のようにおとなしくなってしまう。
そんな阪神の中でも好成績を挙げているのが江越大賀外野手である。22日(木)に行われた広島カープとの一戦で、4回、ライト方向へ弾丸ライナーのホームランを放った。これで実戦5試合で17打数7安打。打率は4割を超える。矢野監督が「とんでもない身体能力、潜在能力を持っている」と言うのも分かる。持っているポテンシャルは阪神の選手の中でもトップクラスなのである。大打者の証明である3割30ホームラン30盗塁、いわゆる『トリプルスリー』も可能と言われる逸材だ。
そんな江越選手が5年目までブレイクしきれていない理由が、確実性。バットにボールが当たらないのである。過去4年、一軍で412打数169三振。三振率も4割を超えている。テニスのラケットを打席に持ち込むことが可能になればとっくに首位打者になっていただろう。阪神外野手陣は糸井嘉男、福留孝介両選手がそれぞれ37歳、41歳と、選手として高齢。若手の台頭が望まれている。持っているポテンシャルの高さは阪神ファン全員が認めるところ。今年こそブレイクを果たしてほしい。
さて、今週の中央競馬の話に移ろう。東京・京都開催も終わり、舞台は中山、阪神競馬場に移る。春はもうすぐそこまで来ている。
阪神11R・仁川Sはダートの2000m。1コーナーまで距離が長いため隊列がすんなり決まりペースが落ち着くことから、通常は先行有利になりやすい。ただ近5年で最も前半600mのペースが速かった昨年は4角14番手のナムラアラシが豪快に差し切り優勝。ペースが流れれば差しも届くコースである。
ペースのカギを握るのはここ4走ハナを切っているオルナだろうか。前走のアルデバランSでは、過去5年の同レースの前半500mで最も速い29.5秒を刻んでハナを切り、差し競馬を誘発していた。今年もスタミナ血統を持つ差し馬を狙いたい。
とまあここまで書いたものの、該当馬は多い。スタミナ血統という概念も随分とアバウトである。過去の好走馬から共通点を見出したい。近5年の仁川S3着以内馬12頭のうち、7頭は東京ダート2100mでの3着以内に入った経験があった。例えば以前、仁川S3年連続2着という記録を打ち立てたドコフクカゼも東京ダート2100mで4勝を挙げている。長距離ダート、そしてコーナーも比較的緩いことから適性が似る可能性はある。
今年の仁川S出走馬で、東京ダート2100mで好走例があり、かつ前走4コーナー6番手以下だった馬は4頭。その中から◎ホーリーブレイズをチョイスしてみたい。2連勝で挑んだ前走のポルックスSは前半1000m通過が63.7秒というスローペース。先行馬が残りやすい流れを、長く脚を使って差し込んで2着。充実度の高さを見せつけた。
フリオーソという種牡馬は好調期にまとめて稼ぐ、父ロベルト系の種牡馬あるあるが非常によく出ており、中央ダートで前走3着以内→勝率21.1%、複勝率45.6%。前走4着以下で勝率7.5%、複勝率17.6%と、明確に差が出るタイプの種牡馬だ。ホーリーブレイズも相手強化を苦にしないタイプで、むしろペースが上がる上級条件のほうが流れに乗れている。距離延長も歓迎だろう。
ちなみに先ほど挙げた東京ダート2100mで好走例があり、かつ前走4コーナー6番手以下だった他3頭はナムラアラシ、ピオネロ、シャイニービーム。相手として考えてみたい3頭だ。
中山11R・アクアマリンSの話に移ろう。昔からこのレースとアクアラインSの区別がつかない。そんな話は置いておいて、このレース、何と言っても強いのはアドマイヤムーン産駒である。一昨年ワンツースリー、昨年も2着と非常に強い。アドマイヤムーン産駒を本命にすれば当たる…と先週までタカをくくっていたのだが、登録馬唯一のアドマイヤムーン産駒だったレーヴムーンが回避。目の前が真っ暗になった。
ただ思い返せば昨年のこのレースを勝ったレジーナフォルテはアルデバラン産駒。アドマイヤムーン同様、父ミスタープロスペクター系だ。開幕週で時計も速くなりやすいことから、単にミスプロ系が強い可能性も十分ある。
今年父ミスプロ系は内枠の4頭。その中から◎イサチルホープに期待してみたい。正直昇級初戦で55kgは少々見込まれている気がするが、トップハンデで人気の一角ショウナンアエラとは4走前の初風特別でぶつかり、0.3秒差の2着。今回はハンデ戦に変わり、1kgイサチルが恵まれる。
内枠を捌くのが上手い馬で、内をうまく立ち回れる1番枠はプラス。2走前の醍醐特別10着は8枠17番でのものだけに、参考外にしておきたい。兄のエイシンイッテンやマイネルマルシェも昇級戦は悪くない馬であった。一族的な後押しにも期待したいところだ。
同じく内枠の父ミスプロ系に該当するタケショウベスト、このレースを得意とするダイワメジャー産駒のアッラサルーテ、前走はスタートで挟まれ参考外、今週で引退する栗田博憲調教師が送り出すイオラニあたりも気にしてみたい存在である。
他からは合計3レースを挙げる。
まずは阪神1R・3歳未勝利の◎シーシャープ。前走は初めてのダートだったものの、1着馬から9.3秒離された11着に終わってしまった。これは心房細動を発症した影響によるもの。完全に参考外である。先日未勝利を逃げ切ったヘイセイラストなど、ここ最近心房細動明けの馬の活躍は目立つ。
母の父グランドスラムは短距離馬も多く輩出する種牡馬で、本馬の母フロムスクラッチは現役時代ダートの1000mでもハナを切れるほどの快速馬であった。姉のウィッシュハピネスもダート1200mの重賞、エーデルワイス賞で逃げ切り勝ちを果たしている。前走こそ心房細動で大敗したがダートは合っており、更なる距離短縮もプラスだろう。見た感じも父のオルフェーヴルより、母親の影響が強そうな体型をしている。
調教では非常に動く馬で、先週の坂路追いでは4F51.8、ラスト1F12.6。今週の坂路追い切りも4F52.6、ラスト1Fは12.3秒でまとめてきた。2週連続で一杯に追われる意欲的な内容である。ちなみにこの2回の追い切りに騎乗したのは、今週で定年引退となる沖芳夫調教師。引退前に師自らが仕上げた1頭で一発を狙う。
そして中山9R・水仙賞の◎サンアップルトンも挙げておく。大牧場の生産馬や大馬主の馬に注目が集まり、前走3着とはいえ、そうマークはされない立場だろう。その前走、ゆりかもめ賞の3着が好内容。今年のゆりかもめ賞はハイレベルで、勝ち時計も東京2400mで行われた15回中最速。1着の超良血馬サトノジェネシス、2着のキタサンバルカンは重賞でも十分勝負になるレベルで強い。キタサンに迫る走りを見せたのがサンアップルトンで、若干切れ負けた印象があった。
父ゼンノロブロイ、母母父トニービンという血統から、どちらかというと持続力勝負に向いた配合パターン。実際初勝利は今回と同じ舞台である中山2200mで、レース上がり600m36.0秒と上がりの掛かる持続力勝負であった。内で周りに馬がいた時のほうが集中するタイプであり、中山の内枠は願ってもない条件。その素質は周りの良血馬たちにも劣らない。
そんな阪神の中でも好成績を挙げているのが江越大賀外野手である。22日(木)に行われた広島カープとの一戦で、4回、ライト方向へ弾丸ライナーのホームランを放った。これで実戦5試合で17打数7安打。打率は4割を超える。矢野監督が「とんでもない身体能力、潜在能力を持っている」と言うのも分かる。持っているポテンシャルは阪神の選手の中でもトップクラスなのである。大打者の証明である3割30ホームラン30盗塁、いわゆる『トリプルスリー』も可能と言われる逸材だ。
そんな江越選手が5年目までブレイクしきれていない理由が、確実性。バットにボールが当たらないのである。過去4年、一軍で412打数169三振。三振率も4割を超えている。テニスのラケットを打席に持ち込むことが可能になればとっくに首位打者になっていただろう。阪神外野手陣は糸井嘉男、福留孝介両選手がそれぞれ37歳、41歳と、選手として高齢。若手の台頭が望まれている。持っているポテンシャルの高さは阪神ファン全員が認めるところ。今年こそブレイクを果たしてほしい。
さて、今週の中央競馬の話に移ろう。東京・京都開催も終わり、舞台は中山、阪神競馬場に移る。春はもうすぐそこまで来ている。
阪神11R・仁川Sはダートの2000m。1コーナーまで距離が長いため隊列がすんなり決まりペースが落ち着くことから、通常は先行有利になりやすい。ただ近5年で最も前半600mのペースが速かった昨年は4角14番手のナムラアラシが豪快に差し切り優勝。ペースが流れれば差しも届くコースである。
ペースのカギを握るのはここ4走ハナを切っているオルナだろうか。前走のアルデバランSでは、過去5年の同レースの前半500mで最も速い29.5秒を刻んでハナを切り、差し競馬を誘発していた。今年もスタミナ血統を持つ差し馬を狙いたい。
とまあここまで書いたものの、該当馬は多い。スタミナ血統という概念も随分とアバウトである。過去の好走馬から共通点を見出したい。近5年の仁川S3着以内馬12頭のうち、7頭は東京ダート2100mでの3着以内に入った経験があった。例えば以前、仁川S3年連続2着という記録を打ち立てたドコフクカゼも東京ダート2100mで4勝を挙げている。長距離ダート、そしてコーナーも比較的緩いことから適性が似る可能性はある。
今年の仁川S出走馬で、東京ダート2100mで好走例があり、かつ前走4コーナー6番手以下だった馬は4頭。その中から◎ホーリーブレイズをチョイスしてみたい。2連勝で挑んだ前走のポルックスSは前半1000m通過が63.7秒というスローペース。先行馬が残りやすい流れを、長く脚を使って差し込んで2着。充実度の高さを見せつけた。
フリオーソという種牡馬は好調期にまとめて稼ぐ、父ロベルト系の種牡馬あるあるが非常によく出ており、中央ダートで前走3着以内→勝率21.1%、複勝率45.6%。前走4着以下で勝率7.5%、複勝率17.6%と、明確に差が出るタイプの種牡馬だ。ホーリーブレイズも相手強化を苦にしないタイプで、むしろペースが上がる上級条件のほうが流れに乗れている。距離延長も歓迎だろう。
ちなみに先ほど挙げた東京ダート2100mで好走例があり、かつ前走4コーナー6番手以下だった他3頭はナムラアラシ、ピオネロ、シャイニービーム。相手として考えてみたい3頭だ。
中山11R・アクアマリンSの話に移ろう。昔からこのレースとアクアラインSの区別がつかない。そんな話は置いておいて、このレース、何と言っても強いのはアドマイヤムーン産駒である。一昨年ワンツースリー、昨年も2着と非常に強い。アドマイヤムーン産駒を本命にすれば当たる…と先週までタカをくくっていたのだが、登録馬唯一のアドマイヤムーン産駒だったレーヴムーンが回避。目の前が真っ暗になった。
ただ思い返せば昨年のこのレースを勝ったレジーナフォルテはアルデバラン産駒。アドマイヤムーン同様、父ミスタープロスペクター系だ。開幕週で時計も速くなりやすいことから、単にミスプロ系が強い可能性も十分ある。
今年父ミスプロ系は内枠の4頭。その中から◎イサチルホープに期待してみたい。正直昇級初戦で55kgは少々見込まれている気がするが、トップハンデで人気の一角ショウナンアエラとは4走前の初風特別でぶつかり、0.3秒差の2着。今回はハンデ戦に変わり、1kgイサチルが恵まれる。
内枠を捌くのが上手い馬で、内をうまく立ち回れる1番枠はプラス。2走前の醍醐特別10着は8枠17番でのものだけに、参考外にしておきたい。兄のエイシンイッテンやマイネルマルシェも昇級戦は悪くない馬であった。一族的な後押しにも期待したいところだ。
同じく内枠の父ミスプロ系に該当するタケショウベスト、このレースを得意とするダイワメジャー産駒のアッラサルーテ、前走はスタートで挟まれ参考外、今週で引退する栗田博憲調教師が送り出すイオラニあたりも気にしてみたい存在である。
他からは合計3レースを挙げる。
まずは阪神1R・3歳未勝利の◎シーシャープ。前走は初めてのダートだったものの、1着馬から9.3秒離された11着に終わってしまった。これは心房細動を発症した影響によるもの。完全に参考外である。先日未勝利を逃げ切ったヘイセイラストなど、ここ最近心房細動明けの馬の活躍は目立つ。
母の父グランドスラムは短距離馬も多く輩出する種牡馬で、本馬の母フロムスクラッチは現役時代ダートの1000mでもハナを切れるほどの快速馬であった。姉のウィッシュハピネスもダート1200mの重賞、エーデルワイス賞で逃げ切り勝ちを果たしている。前走こそ心房細動で大敗したがダートは合っており、更なる距離短縮もプラスだろう。見た感じも父のオルフェーヴルより、母親の影響が強そうな体型をしている。
調教では非常に動く馬で、先週の坂路追いでは4F51.8、ラスト1F12.6。今週の坂路追い切りも4F52.6、ラスト1Fは12.3秒でまとめてきた。2週連続で一杯に追われる意欲的な内容である。ちなみにこの2回の追い切りに騎乗したのは、今週で定年引退となる沖芳夫調教師。引退前に師自らが仕上げた1頭で一発を狙う。
そして中山9R・水仙賞の◎サンアップルトンも挙げておく。大牧場の生産馬や大馬主の馬に注目が集まり、前走3着とはいえ、そうマークはされない立場だろう。その前走、ゆりかもめ賞の3着が好内容。今年のゆりかもめ賞はハイレベルで、勝ち時計も東京2400mで行われた15回中最速。1着の超良血馬サトノジェネシス、2着のキタサンバルカンは重賞でも十分勝負になるレベルで強い。キタサンに迫る走りを見せたのがサンアップルトンで、若干切れ負けた印象があった。
父ゼンノロブロイ、母母父トニービンという血統から、どちらかというと持続力勝負に向いた配合パターン。実際初勝利は今回と同じ舞台である中山2200mで、レース上がり600m36.0秒と上がりの掛かる持続力勝負であった。内で周りに馬がいた時のほうが集中するタイプであり、中山の内枠は願ってもない条件。その素質は周りの良血馬たちにも劣らない。
中山3R・3歳未勝利の予想は
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プロフィール
佐藤ワタル - Wataru Sato
1990年山形県生まれ。アグネスフライトの日本ダービーを偶然テレビで観戦して以降、中学生、高校生、大学生と勉学に勤しむ時期を全て競馬に費やした競馬ライター。『365日競馬する』を目標に中央、地方、海外競馬の研究を重ねている。ジャンルを問わない知識は、一部関係者に『コンビニ』とまで評されている。早稲田大学競馬サークル『お馬の会』会長時代に学生競馬団体『うまカレ』を立ち上げたり、北海道の牧場などに足繁く通うなど、若手らしい行動力を武器に、今日も競馬を様々な角度から楽しみ尽くしている。現在はサラブレ、一口クラブ会報などでも執筆中。血統派で大の阪神ファン。甘党でもある。