競馬YouTuberとして一躍名を挙げ、各媒体に引っ張りだこの佐藤ワタルが、地方&海外レースを展望。若くして人並み外れた知識量、分析力を披露する。
【凱旋門賞】狙いは新味を見せている伏兵!
2023/9/30(土)
凱旋門賞[芝2400m、日本時間23時05分発走]
日本馬の評価
ースルーセブンシーズ(馬番9、ゲート番5)伸び盛りの5歳牝馬で、一戦ごとに強くなっている。宝塚記念は若干ペースに恵まれたところはあるものの、斜行の影響さえ受けなければ、勝ったイクイノックスにもっと肉薄していただろう。道悪になってもある程度対応可能だが、今回は58kgという斤量面が鍵になりそうだ。いきなり58kgは厳しいと見て下げる。
外国馬の評価
◎ベイブリッジ(馬番5、ゲート番6)今年狙いたい穴馬。2走前のプリンスオブウェールズSは5着と完敗してしまったものの、6頭立てのスローペースを後ろから運ぶ苦しい形になってしまっていた。昨年の英チャンピオンSは3番手と先行策からの押し切り勝ちで、本来前でしぶとさを生かしたい馬。今回先行馬が少ない点、前走初めての2400mとなったセプテンバーSを圧勝し新味を見せた点を評価したい。
◯エースインパクト(馬番13、ゲート番8)
今年のフランスダービー馬。同レースは2100mなのだが、2.02.6というタイムで圧勝している。2100mになってからのレースレコードで、とにかく速い。それまでのレコードホルダーだったソットサスも後に凱旋門賞馬になっている。これまでに2400mの経験がないものの、クラックスマン×アナバーブルーという配合で、2400mも守備範囲と思える。
▲ウエストオーバー(馬番6、ゲート番1)
昨年の凱旋門賞は6着だったものの、かなりの道悪だった影響を受けていた。その前のキングジョージも5着に敗れているが、こちらはローテーションがかなり詰まっていた影響もある。それ以外は全て3着以内と安定感抜群。ある程度前目につけられるのは今年のメンバーを考えるとプラスに出そう。
☆フィードザフレイム(馬番12、ゲート番2)
このコースのパリ大賞を直線鋭い脚を見せて差し切った。フランスダービーは前半スムーズさを欠いたことを考えると4着も決して悪くなく、名手スミヨン騎手を配してきた点も好材料。ただしパリ大賞はやや展開利もあり、前走のニエル賞はファンタスティックムーンに完敗してしまったのはやや懸念材料。
△フクム(馬番7、ゲート番14)
現在3連勝中と勢いに乗っている6歳馬。キングジョージで重たい馬場をこなし、ドバイでは良馬場もこなすなど、馬場を問わない点が非常に魅力的な一頭。キングジョージからの直行がなかなか結果が出ないレースだけに間隔が空いているところがどうかも、能力的に上位が狙えそう。過去の凱旋門賞で6歳以上の馬の成績が良くない点については、ヨーロッパの有力馬が早めに引退する影響があるだけにあまり気にならない。
△フリーウインド(馬番10、ゲート番3)
好メンバーのヨークシャーオークスで2着となった馬。2走前のG2リーラングトリーSはあっさり4着に敗れてしまったものの、体力のいるグッドウッド競馬場の2800mだった。この馬はヨーク競馬場、ドーヴィル競馬場といったスピードの問われるコースでパフォーマンスを上げていることから、ここ数年に比べて馬場がいい今年は侮れない。デットーリ騎手最後の凱旋門賞となる点も怖い。
△ファンタスティックムーン(馬番14、ゲート番12)
当初は回避予定も、雨があまり降らない予報を見て急遽参戦。前走このコースのニエル賞を完勝している。ドイツ馬は凱旋門賞で侮れず、父父シーザスターズ、母父父モンジューが凱旋門賞馬と縁のある血統だけに上位進出の可能性はある。
プロフィール
佐藤ワタル - Wataru Sato
1990年山形県生まれ。アグネスフライトの日本ダービーを偶然テレビで観戦して以降、中学生、高校生、大学生と勉学に勤しむ時期を全て競馬に費やした競馬ライター。『365日競馬する』を目標に中央、地方、海外競馬の研究を重ねている。ジャンルを問わない知識は、一部関係者に『コンビニ』とまで評されている。早稲田大学競馬サークル『お馬の会』会長時代に学生競馬団体『うまカレ』を立ち上げたり、北海道の牧場などに足繁く通うなど、若手らしい行動力を武器に、今日も競馬を様々な角度から楽しみ尽くしている。現在はサラブレ、一口クラブ会報などでも執筆中。血統派で大の阪神ファン。甘党でもある。