一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
コスモナインボールで朝日杯FSに出走
2014/12/18(木)
イーグルカザンは本当に上手くいって、最高に気持ちいいレース。道中の流れで、これはハマるなとニヤニヤしながら乗っていました。コスモナイスガイ(5人気②着)もブリンカーが効いて状態が上向いており、今までで一番のレースができました。あそこまで行ったら勝ちたかったですが、相手がちょっと悪かったです。初めて乗ったクリノタカラチャン(10人気②着)は凄くスピードがある馬ですね。自分のリズムも良い日でしたが、また乗せていただきたい一頭です。
この土曜は中山で6鞍に騎乗します。3Rのホワイトウインドはずっと安定して走れていますし、中山替わりはプラスだと思います。距離もマイルまでは問題ないでしょうから、ここらで勝たせてあげたいです。10Rのマイネルエテルネルは57.5キロのトップハンデ。とはいえ、ポイントはこの馬の競馬ができるかどうか。待たされてヨーイドンは向いていないので、上手くスタートだけ出して、主導権を取って進められる位置で流れに乗せるというのが理想ですね。12Rのコスモチョコレイの未勝利は僕で勝ったのですが、さらに500万を制し、1000万で勝ち負けというところまで力をつけました。状態もいいようなので、その成長を楽しみにしています。
日曜は阪神で7鞍に騎乗します。もちろん、朝日杯FSでコスモナインボールに騎乗するため。まずは、目標のレースに順調に来れたというのが何より。先週も今週も追い切りはウッドでやっていて、右回りが走りづらそうな印象はありません。ゲートが落ち着かなかったりするので、まずはそこに気を付ければ、スタートをポンと出て自然に折り合いがつくというタイプ。さらに最後までしっかり脚を使ってくれるので凄く乗りやすい馬です。今週は馬場が渋る可能性もありますが、この馬は気にしないので、切れ味があるライバルが苦にしてくれる分だけ歓迎材料ではないでしょうか。昨年は悔しい思いをしましたし、今年乗る最後のG1になりますので、何とかいい結果を残したいなと思っています。少なくても人気より前に持って来れるように、楽しむことも忘れずに乗ってきます。
関西圏での昇級緒戦ですが、12Rのマイネオレンジも力が入る一戦。以前の弱点だったノドは問題ありませんし、状態も維持できています。1000万でも頑張ってくれるでしょう。8Rのマイネルハルカゼはかなり長くいい脚を使える馬という印象。2度目の騎乗になりますが、当時(6着)から直順を上げられる力があると思っています。
今週は休日の月曜にドライブがてら箱根まで行ってきました。温泉にも入って英気を養ったのですが、そこで食べた蕎麦(そば)が最高においしかったんです。30年も蕎麦をつくっているというご主人が「全国どこに行ってもこんな蕎麦は食えないぞ」と説明もしてくれて、とにかく職人魂を感じました。また必ず行きたいと思いますし、皆さんも機会があれば立ち寄ってください。岩清水さんというお店です。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。