
一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
力が入る中山金杯のマイネルミラノ!
2015/1/2(金)

最終週の振り返りですが、50勝目のコスモヨハネは内に速い馬がいたのでハナに行こうとは思っていなかったんです。すると、前にいた馬が物見をして急ブレーキをかけたので、そのまま前に出てしまったという感じ。勝つには勝ったのですが、まだコントロールするのが難しい部分があるので、かえって1頭で気持ち良く走れたのが良かったのかもしれません。今後は抑えて差すような競馬を教えていかないといけないので、暖かい目で見守っていただければと思います。
アフェクシオン(9人気②着)はスタートがかなり速くて、枠も良かったので、気分良く走れたことが好走の要因です。ムキになる面が解消してくれれば、すぐに未勝利は勝てる馬なのですが……。ホープフルSのマイネルシュバリエ(7人気⑫着)はコントロールが利きませんでした。いつもなら噛んでもちょっと我慢すればスッと抜けるのですが、今回ばかりは全く抜けず。あんなにガンガン行ってしまうのは初めてのことで、乗っている側もびっくりしてしまった程。あれでは保つはずもなく、前半の力みが最後に響いてしまった印象です。馬体重は変わりませんでしたがそれが敗因ではなく、次走に向けての修正点が浮き彫りになりました。

2015年の初日となる日曜は中山で7鞍に騎乗します。中山金杯のマイネルミラノは、毎回追い切りは厩舎サイドにお任せしている馬。前回は馬体が増えていて、コンディションに余裕がある中での快勝。使われてさらに良くなっていると思いますし、当然ながら力が入ります。初めての重賞で55キロというのも力を認めてもらっている証拠でしょう。特にハナに拘るつもりはありませんが、中山を得意にしているので、とにかくこの馬のリズムで走らせてあげたいです。ここで勝ち負けしてくれるようであれば、今年はいきなり楽しみが増えます。
他では、2Rのマイネルヴォーダンも楽しみにしています。デビュー前から動きが良くて、牧場でも凄く期待されていた馬。北海道からの休養で立ち直ってくれていれば、能力的には未勝利で足踏みする器ではないはずです。5Rのマイネルカレッツァは、前走でヤル気を出していいリズムで走ってくれました。引き続き同じ走りができれば、今回もそう差はないと思います。10Rのマイネルグルマンはまだ緩い部分もあるのでこれからの馬ですが、ジワッーと競馬をさせてあげれば、最後はしっかりと伸びてこれるイメージ。高い能力は持っているので、現段階でどこまで頑張ってくれるかですね。
続く月曜も中山で6鞍に騎乗します。10Rのカハラビスティーは以前ダートで乗って、芝向きという印象を持った次走から芝で出世してきた馬。久々を使われて状態も上がっているようですし、スピードを存分に生かしてあげたいです。8Rのコスモナチュラルは先頭集団で上手く脚を溜めたいところ。展開の助けはほしいですが、かみ合えば足りない馬はありません。

年始はまだ初詣に行けていないのですが、年末は2013年同様、12月30日に福山雅治さんのコンサートに参戦。今年は有馬記念から金杯まで短くて、年末年始を感じないという競馬関係者が多い中、僕はしっかりと一年を終えてきました。これにてかなりのパワーが注入されたと思いますので、初っ端のレースから全開でいきますよ!
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。