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一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
毎日王冠はウインフルブルームに騎乗
2016/10/6(木)
中山最終週は土曜に2勝することができました。マイネルアムニス(1人気①着)は調教でかなり動けていたので自信もありましたが、思っていたとおりに走ってくれました。メンバー的なところもあったため昇級即とは言い切れないものの、この先も活躍できる馬だと思います。ミライヘノツバサ(2人気①着)は手応えがなくなってから渋太かった。競馬が上手で中山コースも合っているのですが、夏を越してまた力をつけたという印象。皐月賞を走った馬でもありますし、これから上のクラスで頑張ってくれるでしょう。
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開幕週の土曜は東京で6鞍に騎乗します。5R(2歳新馬)のキューンハイトは先週の追い切りに乗せていただきました。ディープインパクト産駒で力の要るウッドは辛そうなところもありましたが、芝の実戦で変わってくれそう。使って良くなっていくタイプかもしれませんが、いいモノは持っています。6Rのコウソクラインも追い切りに乗りましたが、雰囲気は凄く良いです。未勝利勝ちしたコースに戻れば、500万でも十分に戦えるはず。勝つまでに時間こそかかりましたが、素質に期待している馬なんです。8Rのスズトラッドは被されたり揉まれたりすると良くない馬。展開や枠順にもよりますが、スムーズに立ち回れれば近走の着順ほど差はないと思います。10Rのマイネルカレッツァは、ひと息入ってリフレッシュできていると聞きました。東京2400mは最も合う条件なので昇級でも頑張ってくれると思います。12Rのインスタイルは、前走の新潟1200mは内枠も相まって忙しかった。東京コースのほうが間違いなく合う馬なので、③着がある舞台で改めて期待しています。
日曜も東京で7鞍に騎乗します。毎日王冠のウインフルブルームは、これまでに対戦したことがない相手関係でワクワクしています。先行しても長く脚を使ってくれるので、初コースに臆せず持ち味である渋太さを活かしたい。競馬が上手な馬ですが、自分の立ち回りも鍵になると思っています。1Rのコスモクウェンチは初ダートの感触が良かった。東京1300mも合いそうなイメージがあるので、着順を上げられるように頑張ります。3Rのシュピールカルテは除外続きで予定よりも出走が延びてしまいました。その点で状態面の維持が鍵ですが、十分に勝ち負けできる力はある馬。幸い、芝1400mは合っていると思います。7Rのスループオブウォーは、前走の1200mがかなり忙しかった。1600mへの距離延長はいいほうに出そう。素質を感じる馬なので、この舞台なら着順を上げたいです。
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祝日開催の月曜も東京で10鞍に騎乗します。2Rのマイネルジェネルーは初戦の内容が良かった。そこから状態面の上積みも見込めます。ひとつ、一生懸命になりすぎるところがあるので、テンションだけ落ち着かせて臨めれば差のないレースができるはず。3Rのアンネリースは福島、中山では忙しい感じだったので、ゆったり競馬できる東京コースに替わるのはプラス。勝つだけの力はあるのですが器用ではないので、枠順を見て作戦を考えます。6Rのマイネルネッツは使い込むよりも間隔が空いた時のほうが走れるタイプ。休み明けでフレッシュな今回は期待しています。7Rのマイネルエスパスは、東京ダート1400mという舞台は合うと思います。出していくと掛かる馬なのですが、この舞台で折り合って運べれば勝つだけの力はあります。8Rのコスモヨハネは先週の追い切りに乗せていただきましたが、久々でも走れる態勢は整っています。左回りの1600mはベストで、かつ降級となれば頑張ってくれるはず。
9Rのコスモカナディアンは本当に力をつけています。今ならタメても脚を使えそうですし、久々の東京コースは全く気になりません。前走が際どいハナ差だったので、今度こそ勝たせてあげたい。10Rのケイアイチョウサンは東京コースで騎乗した前回が②着でいいイメージを持っています。近走もいい競馬をしていますし、仕掛け所に気をつけてロスなく立ち回りたい。11Rのマッチレスヒーローは以前に中距離で騎乗したことがあるのですが、東京1400mで常に強い競馬をしているイメージ。この条件ならオープンでもヒケを取らないはずですし、研究して良さを引き出してあげたい。12Rのラペルトワは距離が1800mになるのは良さそう。成長途上ではありますが、牝馬限定戦と相まって前進がありませんか。
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木曜の日中は大野騎手、吉田隼人騎手と一緒に競馬学校の模擬レースに参加してきました。ダート1000m、1700mに乗ったのですが、自分達の頃に比べると教え方も変わっているのか、まだ2回目と思えば皆しっかりと乗れていた印象。ちなみに僕は⑤着と③着のゴールでした。使われている馬達は能力差が結構あるので、ハンデ戦ではありませんが斤量に差をつけています。もう20年以上も前になりますが、当時を思い出しましたね。アドバイスなどをしつつ気が引き締まったので、今週の3日間もしっかり結果を出したいです。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。