
一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
東京最終週は土日18鞍に騎乗
2016/11/24(木)
期待している多くの馬が出走した先週はアンネリース(1人気)の②着が最高着順。内枠とスローペースが仇となって動けず、もどかしい競馬になってしまいました。何とか外に出してからはいい脚を使ってくれているので、本当に次こそはという思いです。東京スポーツ杯2歳Sのトラスト(3人気⑤着)は、すんなり納まってくれる感じの2番手ではなく、今後への課題が見つかったというレース。前の馬を追い抜こうという気持ちが強すぎて、前半で力んだ分だけ最後に思ったような脚が使えませんでした。スタートが速いので自分のリズムで逃げれば息を入れてくれるのですが、相手が強くなる中でそういう競馬ばかりも望めませんから……。札幌の時に比べて馬体に実が入ってきた印象を受けたので、12キロ増は全く問題ありません。まだまだこれからの馬なので、今回の敗戦を糧にできるように考えて乗っていきます。

この土曜は東京で8鞍に騎乗します。3Rのプーカローズはこれまで3回乗って、1800mという距離は合っていると思います。前々で流れに乗って渋太さを活かせれば、今のメンバーならそれほど差はないはず。9Rのスッチェッソは休み明けですが仕上がりはイイです。距離延長に関しては何とも言えないところで、むしろ今後の適性を占う一戦になりそう。11Rのマイネルラフレシアも初めてのマイル戦への対応が課題になるものの、東京コースは得意ですし、前走の感触が凄く良かった。綺麗なフットワークで走るので馬場の回復も鍵ですが、ここは突破してほしいという気持ちが強いです。
日曜も東京で10鞍に騎乗します。1Rのシュピールカルテは、慣れたコースで前走は折り合いにも進境があって本当にもうひと押しという段階。今回は牡馬との混合なので、相手関係ひとつではないでしょうか。2Rのシュティーアは、東京コースに替わった前走でも頑張ってくれました。ただ、時計が速くなるのは歓迎ではないので、馬場状態が気になるところではあります。3Rのマイネルスフェーンの前走は内外の差で負けてしまっただけ。この馬も東京コースに替わって前々で流れに乗ることができたので、条件的に勝たせてあげたい一戦です。
4R(2歳新馬)のコスモライジンはここ2週の追い切りに乗せていただきましたが、とてもいい動きをしています。スタートがあまり速くないということなので、金曜朝にゲート練習をする予定。それを経て万全の態勢で臨めれば、いきなり勝ち負けという感触です。7Rのマイネルアムニスは、状態面は変わらずきており1ハロン延長による折り合いが課題。1400mの前走でも力んで走っていたので、考えながら乗ってきます。9Rのヘイローフォンテンは休み明けがどんなものか。ただ、随分と使い詰めできていたので、ひと息入ったことがむしろ向きそうな気も……。気分良く走ってくれれば、1000万でも差がない馬だと思っています。10Rのマイネオーラムの前走は14キロ増えていて、いかにも休み明けという印象でした。道悪のほうが走れる馬ですし、一度使った効果と相まって変わってくれると思います。

いよいよ東京開催も最終週。ここ2週は勝利こそ上げられていませんが、各馬は本当に頑張ってくれていますし、自分なりにリズムも悪くなく納得の騎乗はできています。今週もそうなのですが、これまでに惜敗してきた馬を勝たせてあげることが年末の課題。その先に、目標にしている年間60勝が見えてくると思っています。来週からの大好きな中山開催に先駆けて、気持ち良く東京開催を締めくくりたいですね。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。