一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
京都金杯はマイネルハニーに騎乗
2017/1/3(火)
新年明けましておめでとうございます。2017年も柴田大知をよろしくお願い申し上げます。
昨年最終週は金曜に2勝し、合計56勝でフィニッシュとなりました。初めての騎乗だったアッキー(4人気)は、レースビデオを観たり内田騎手に話を聞いたりして臨んだのですが、思っていた以上に馬がヤル気を出してくれなかったという印象。最後の最後にようやくハミを取って勝つのですから力はあるのですが、気持ちを出してくれていればもう少し楽に勝てたレース。昇級するにあたっては課題もあるなと感じました。
マイネルバールマン(3人気)は枠順も展開も理想どおり。全てがこの馬に合ったレースだったと思います。前走が1番人気でもどかしい競馬をしてしまったので、力を証明できてホッとしました。一方、ホープフルSのコスモス(4人気⑨着)は、返し馬から感触は悪くありませんでしたし、芝の走りも良かった。適性というよりも相手関係と、重賞でいきなり勝ち負けするだけの状態面が伴っていなかったように思います。あの一戦だけで色々と決め付けられませんし、潜在能力は間違いないのでこれからに期待していきたいです。
今年度の初日は京都で7鞍に騎乗します。マイネルハニーは、コーナー4つの2000m(中山金杯)よりもワンターンの1600mのほうが合うだろうという判断のもと京都金杯に出走。この距離でもすんなり先行できるだけの脚がありますし、上手に競馬してくれそうなイメージを持っています。年が明けてから乗せていただきましたが、カイバ食いも落ちず、良い意味で変わらずにきています。同じG3とはいえメンバー強化の上でハンデ1キロ増ですが、それだけの実績がありますからね。人馬ともにいいスタートを決めたいものです。5Rのコスモヴァーズは前走時にまだ自分からという感じがなかったので、休み明け3走目で道中からハミを取ってくれる走りに期待したいところ。タイプ的に1ハロン延長は向くと思います。
8Rのマイネルボルソーは前半に行き脚がつく馬ではないので、ジワッと脚を使える少し速い流れになってほしいところ。展開が向けばまだ着順を上げられる力は持っています。9Rのマイネルオフィールのここ数戦は、ブリンカーが効いているなという印象。逃げる形も合っていますし、先行して気持ちを途切れさせないような競馬もできるはず。コースも合いそうなので久々の騎乗を楽しみにしています。10R(万葉S)のマイネルサージュは、前走は大丈夫でしたが3000mになって折り合いだけが鍵。それさえ叶えば距離は保つはずで、オープンでもいきなりやれるという感触。弱い部分が解消されて、かなり良くなっているんです。この先に大きい所を狙っていくという意味でも力が入る一戦。
年末年始は最終日の競馬後に1週間休みをいただきまして、恒例の福山雅治さんのコンサートと一泊で温泉に行った以外は、自宅でゆっくりと1年間分の元気を蓄えました。そして新年の抱負ですが、届きそうで届かなかった年間60勝を何としても達成したい。昨年は重賞を2勝させていただきましたが、ラインナップ的にもっと勝たなければいけませんし、そろそろG1も勝ちたい。新年の初日から強い気持ちを持って頑張ります。今週はもう1回、週末に向けての見通しを金曜日に更新させてもらいます。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。