一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
京成杯はマイネルスフェーンに騎乗
2017/1/12(木)
幸先良いスタートを切りたかった新年開幕週ですが、コスモヨハネ(5人気)の②着が最高着順。とはいえ、凄くいい雰囲気だったので、この感じのままいければ次走は本当にチャンスだと思います。使う毎に硬くなってくるイメージがあるので、早いタイミングで勝たせてあげたい。シンザン記念のトラスト(3人気④着)は馬場をそれほど気にしている感じはありませんでした。レースも上手に運べており、あそこからもう一段ギアが上がる形が理想なのでしょうが……。止まっているわけではないものの、もうひと押しというところでした。折り合いに進境もありますし、どこかでチャンスはありますので引き続き注目していただければと思います。
この土曜は中山で5鞍に騎乗します。2Rのプーカローズは自分が乗った2走前は久々の影響があり、前走は芝で少しキレ負けしたのかなという印象。十分に力はある馬なので、ダート替わりがいいほうに向いてくれませんか。3Rのマイネルピョートルは、願望ではなくダートのほうが向くと思っています。大きな跳びでしっかり走るので、ここなら変われそうなイメージがあります。
5Rのウインクバックは勝ち馬に逃げ切られたものの、前走も上手に競馬しています。使う毎にまだ調子を上げてきている感じがあるので、もうひと押しに期待しています。7Rのコスモボアソルテも、時計が速かった前走で頑張っています。今回も上位には来れるはずなので、そんな中でも立ち回りを意識して勝利を目指します。10Rのマイネオーラムの前走は、期待していたとおりの内容で③着。とにかく中山1800mは合っているので、ここで勝たせてあげたい気持ちが強いです。
日曜も中山で9鞍に騎乗します。京成杯のマイネルスフェーンの前走(ホープフルS)は器用さを見せていたと言いますか、窮屈な内を捌いて内容がある②着だったと思います。どうしても前半に行ける馬ではないので、タメてどこで脚を使うかがポイントになりそう。使う毎に芯が入って力をつけている印象があり、少なくとも前走くらいは走ってくれるはず。3年前に勝たせてもらった思い入れがあるレースで、今年も結果がほしいところです。3R(新馬)のパサデナは先週の追い切りに乗せていただきましたが、跳びが大きな馬もまだ体を使いきれていない印象。使いつつ良くなっていきそうなタイプです。
5Rのパルクリールは新馬当時から素質を感じています。まだ未勝利なのが不思議なくらいで牝馬同士なら十分にチャンスです。7Rのサンダーバトルは行き脚がつく馬ではないので後ろからになりそう。どうしても展開に注文はつきますが、3度目の騎乗なので上手く乗ってあげたい。8Rのマイネルバサラは、前走も終いはしっかり走れていました。オープンでも好走していた実績があるので、休み明け3走目でそろそろ目覚めてくれませんか。
9Rのゲマインシャフトは、前走が休み明けで20キロ増。状態は上がっているはずですし、感触を掴めている馬なので結果を出したい。10Rのマイネルアウラートは前走勝ちで斤量は1キロ増えますが、中山は問題ありませんし重賞でも頑張れている馬ですからね。オープン特別なら連勝を意識したいところです。12Rのコスモジャーベの前走は、休み明けの影響で終始苦しがっていました。使って順調に良くなっていれば、1000万なら大きく変われる力を持っています。距離短縮になりますが、外回りの2200mなら全然問題ありません。
今回の小ネタは質問をいただいていたようなので、今年からパッドが入ったムチに義務化されたことによる影響についてです。やはり叩いた時にソフトな感じがするので、馬には優しくなっていると思います。それでも敏感な馬はビュンと反応してくれるのですが、押して押してというズブい馬の場合は「アレッ?効いているのかな」という印象も……。とはいえ全員が同じ条件なので、下半身でどれだけ押せるかが騎手にとって重要になります。そのあたりを踏まえて、今年はトレーニングも変えていかなければなりませんね。機会があれば続編として、思うこと、試していることを書かせてもらいます。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。