一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
AJCCはマイネルフロストに騎乗
2017/1/19(木)
正月開催の2週目で何とか両目を開けることができました。コスモボアソルテ(6人気)はペースが落ちたところでタイミング良くポジションを上げて、そこから自分の競馬に持ち込めたのが勝因ですね。展開に左右される面もありますが、かみ合った際はあの形が合っています。マイネルアウラート(7人気)はこの時期も合っているのか、また調子を上げていて強かった。持ち前の長くいい脚を使ってくれて、1馬身ちょっとという着差以上に余裕がありました。今年は重賞を勝たせてあげたいです。
一方、京成杯のマイネルスフェーン(3人気③着)は前半のペースが遅く、さらに3コーナーからも流れていかず、惜しむらくは枠順が内すぎました。厳しい競馬になってしまったものの、改めて能力の高さを示してくれたと思います。一瞬の脚もありますし、距離が延びて広いコースになれば違った一面も引き出せそう。勝てなかったのは残念ですが、この先が本当に楽しみです。
あっという間に最終週の土曜は中山で7鞍に騎乗します。2Rのコスモライジンは、調教でいつも抜群の動きをしている馬。ここ2戦の内容は案外ですが、このダート替わりがキッカケになってくれませんか。調教どおりに走ってくれれば、いつ変わってもという感じです。5Rのコスモメイプルはいいモノを持っていますが、休養前は間隔が詰まってしまったことと相まってテンションが高かった。久々がいい方に向いてくれれば勝ち負けできる力はあります。願わくば展開が流れてほしい。7Rのリュイールスターの前走は休み明けかつ昇級が堪えたのだと思います。使って状態が上向いていればもっと頑張れる馬です。
8Rのマイネルエスパスは久々でも動ける馬。ただ、芝スタートはやや割引きで、中山1200mも忙しいかもしれません。再昇級でもあるので、まずは流れに乗せて先に繋がる内容を心掛けたい。9Rのマイネルズイーガーは、北海道の時は素質に体がついてきていなかったのか苦しがっていたという印象。休み明けでようやく良くなっていた前走が本来の姿です。状態もさらに上向きと聞いていますし、前々で流れに乗せていければ昇級でも頑張ってくれるはず。11Rのコスモドームは後ろからの脚質だけに、上手く捌けるかどうかが鍵。そういった意味で12頭立ては手頃で、終いが活きる流れになればチャンスがありそうです。12Rのクラウンマグマは芝に替わってから強い内容で3戦3連対。間隔が空いている分がどうかですが、乗り味からも500万で十分に通用する馬だと思います。
日曜も中山で9鞍に騎乗します。アメリカJCCのマイネルフロストの前走(中山金杯)は、道中で後ろにいた馬から脚を乗っかけられて、そこでハミを噛んでしまったことが主たる敗因と聞いています。スムーズならもっとやれるはずだと思いますし、2200mという距離もかえって乗りやすそう。昨年も④着というレースなので頑張りたいですね。3Rのコスモオペラは、ようやくダートのこの距離で上手に競馬できるようになってきました。前走の内容を振り返っても、改めて期待したいところ。5Rのマイネルヴンシュは集中力が続かないタイプなので、詰めて使うことがプラスに向きそう。競馬が慣れてきたところで、気持ちを途切れさせずに走らせてあげたい。
6R(新馬)のタマノプリマベーラは2週前の追い切りに乗りました。素直で一生懸命な気性なので、そこに体がついてくるかどうか。一度使えばグッと上向きそうです。8Rのラスカルグレイはダート短距離が合っています。ただ、気難しい面があるので、嫌な思いをさせないよう上手に走らせて力を出し切ってあげたい。9Rのヴェアリアスサマーの前走は、久々の芝で逃げてなかなかの見せ場をつくっていました。時計のかかる今の馬場も合いそうなので、同じ距離の2走目、今度はハンデ戦で前進がありませんか。12Rのウインマハロは、1ハロン短縮の1800mは歓迎。さらに牝馬限定戦と条件は揃っているので頑張ってくれると思います。立ち回りが上手い馬なので、それを活かせる内目の枠だったら嬉しいですね。
今週は月火と平日も競馬になってしまって大変な方も多かったと思いますが、中山で騎乗していた僕は影響を受けなかったので、上野の森美術館のデトロイト美術館展で気分転換してきました。早くから券を持っていながらなかなか行けずにいましたが、足を運んでおいて本当に良かった。1月21日(土)までというタイミングで宣伝するのも何ですが、ルノワールやゴッホにピカソにモネと有名どころばかりなので、是非とも駆け込み入館をお薦めします。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。