一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
慌しくも実のある時間
2017/3/9(木)
先週はマイネルクラフト(6人気)で勝つことができました。流れに乗れるようなら少し前でと考えていましたが、今回も進んでいく感じではなかったので後方から。前半なるべくロスなく乗って、後半に懸けようと切り換えました。思いのほかペースも速く向正面から仕掛ける形になりましたが、最後までしっかり加速しての差し切り。一度使って本当に良くなっていましたし、中山であの勝ち方ですから地力があります。一方、チューリップ賞のエントリーチケット(6人気⑩着)は返し馬から気持ちが前向きで好感触を持ったのですが……。4コーナーまで思っていたとおりのレース運びができたものの、そこからの反応が一息。相手が強かったとはいえあそこまで負けるは不可解で、今回の一戦だけで判断するのは難しいです。
この土曜は阪神で7鞍に騎乗します。4Rのコスモリョウゲツは1400mで忙しくならないかという心配はありますが、一度乗った感触ではその後の成績が不思議なくらい。二度目の騎乗で前進させてあげたい。10Rのペルソナリテは前走でやっと集中して走ってくれました。斤量が増えるのは鍵ですが、牝馬同士であの走りができれば通用するはず。2歳時にG1で頑張ってくれた実績もあり、久々の阪神コースは問題ありません。11Rのコスモカナディアンは川崎記念でも頑張ってくれたように、一戦毎にパワーアップしています。状態面も変わらないと聞いており、今回は少頭数で競馬もしやすそう。先々は大きいところを狙っていきたい馬なので力が入ります。12Rのコスモボアソルテは昇級緒戦だった前走が完敗。コース的にはコーナー4つのほうが理想なので、少頭数と相まってひとつでも上の着順を目指します。
日曜は中山で8鞍に騎乗します。3Rのコスモクウェンチはゲート試験で時間こそかかりましたが、短距離ダートならやれる力がある馬。スタートを決めて流れに乗れればチャンスもありそうです。5Rのマイネルクラースは、立て直して使いつつ良くなっています。初コースでも中山は問題ないはずなので結果を出したいところ。6Rのマイネルズイーガーも、前走時に状態の良さが伝わってきました。東京コースで差のないレースができたのは収穫で、持ち味が活きる中山替わりで勝たせてあげたい。
7Rのラスカルグレイは中山ダート1200mという条件は合っています。ゲートに課題があるのでスタートは気をつけますが、何度か乗ってハナには拘らない馬という感触も持ちました。前半ジワっと行ければ、⑥着だった前走時よりも残れませんか。8Rのコスモナチュラルは期待していた船橋の前走が案外。使われて中身が良くなっていれば、中央500万でもそれほど差がある馬ではありません。10Rのコスモソーンパークは昨年のニューイヤーSが同じ58キロを背負って②着で、中山マイルはピッタリという印象。小倉大賞典からの中2週で状態面が鍵ですが、頑張ってくれると思います。
先週は木曜に川崎の交流に乗り、土曜は阪神に行き、日曜は中山に戻っての騎乗。レース後はそのまま北海道のビッグレッドファームに移動し、6頭の2歳馬に跨りました。さらに火曜から美浦で調教に騎乗し、水曜午後は親知らずの抜糸にも行くなど慌しい1週間でした。今週も阪神に行ってから中山と移動は継続しますが、それぞれに実があって本当に充実しています。そろそろ固め勝ちもできるように励みますので、引き続きの応援よろしくお願いします。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。