一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
ファルコンSはマイネルバールマンに騎乗
2017/3/16(木)
先週はマイネルブロッケン(3人気)で勝つことができました。初ダートにブリンカー、外枠も相まって行きっぷりが良く、内側から出して行く馬を見ながらの追走。砂を被らない位置というのも大きかった。途中で抜けて一定でハミを取らない感じもあり、まだ課題こそ残りますが、ダート中距離という条件は合っています。コスモカナディアン(2人気②着)は道中上手くなだめて運べましたが、勝ち馬が強かった。直線で一旦は並んでいるのですが、少しずつ離されてしまっています。距離適性の差もありましたか。勝ち馬が強かったのはマイネルズイーガー(3人気②着)も同じ。後続に脚を使わせる運びができて、自分としては思惑どおりでしたが……。あの位置からあれだけの脚で差し切られては脱帽です。
今週は3日間開催、土曜は中京で4鞍に騎乗します。ファルコンSのマイネルバールマンは1週前追い切りに乗せていただきましたが、いい意味で変わらずにきています。1200mにも実績はありますが、むしろ合っているのは1400m。瞬発力勝負になると分が悪い部分があるので、そのあたりに気をつけて仕掛けたい。一連の競馬から中京コースは合うと思いますし、重賞でも差はないという気持ちです。久々ですが、1Rのマイネルルタンは初戦の感触が悪くなかった馬。ソエ気味から立て直した効果で前進に期待します。10Rのマイネルビクトリーは中1週ですが、内容が良かった前走から変わらない状態と聞きました。左回りも問題ありませんし、この馬のパターンが掴めた感じがしているので楽しみです。
日曜は中山で7鞍に騎乗します。3Rのマスカレードシチーの前走は、忙しかった1200mで砂を被っても怯まず集中して走れていました。距離延長も相まって丁度いい条件なので、前進してくれると思います。5Rのマイネルヴンシュは一戦毎に気持ちが入って競馬を覚えてきました。4戦続けて同じコースで今度も頑張ってくれるはず。6Rのクイントゥープルは新馬勝ちしている馬で、久々が良いほうに向きませんか。自己条件ならもう少し走れていいはずですよ。7Rのマイネルネッツの前走は連戦の疲れがあったのかなという印象。久々のほうが走る馬なので、今回の条件なら巻き返せるイメージです。9Rのマイネルメリエンダは久々というだけで、本当に申し分のない舞台。また一緒に重賞へと挑戦したい馬なので、いきなりから結果を出したいところです。
月曜も中山で8鞍に騎乗します。2Rのマイネルピョートルは状態が良かったですし、ブリンカーも大分効いている印象でした。負けても収穫あるレースだったので、改めて頑張ってくれるはず。3Rのワッハッハの初戦は、良かった調教の感触どおりの走りで③着。一度使っているので、1200mでも前半の行きっぷりが違うはず。更なる前進に期待している一戦です。4Rのマイネルレンカは、久々でも1週前の追い切りが動いていたよう。中山コースは合いますし、ゆくゆくはかなり活躍していく馬だと思っています。5Rのタックボーイは前半どうなだめて乗るかが鍵ですが、休養前は使い詰めで馬のテンションも上がっていました。休み明けがいいほうに向くと思いますし、好位で脚をタメられれば力を見せてくれるはず。
6Rのウインクバックはいつも本当に一生懸命に走ってくれる馬。前走も相手が悪かったというだけなので、ベストと言い切れるこの舞台で何とか勝たせてあげたい。7Rのコスモアルヘナは、少し忙しい1600mをどうカバーして乗れるか。展開を読みつつ上手く立ち回りたい。10Rのマイネルバサラは、ようやくいい頃の感じに戻ってくれました。昇級戦とはいえ少頭数は歓迎ですし、前走の状態を維持できていれば十分に通用します。12Rのマイネルボルソーは、競馬は上手ですがもうひと押しが利きにくいタイプ。ヨーイドンになってしまうと分が悪いので、器用さを活かして仕掛けのタイミングに気をつけたい。ペースが流れてくれれば前進させられるイメージがあります。
今週水曜は船橋のダイオライト記念でマイネルバイカ(5人気⑥着)に騎乗してきました。強い勝ち馬に早めに来られてしまって、馬にとってはなかなか苦しい展開。それでももう少し踏ん張れるかと追いましたが、最後の1ハロンで脚が上がってしまったのは完調手前だった分かもしれません。8歳とはいえまだまだ馬は若いですし、どこかでまた勝つチャンスが訪れると思います。そんな後の3日間開催で慌しさは続きますが、月曜は地元の佐野にある山銀本店でラーメンを食べ、栃木の温泉にも行ってリフレッシュできました。あとは勝利が一番の良薬なので、お馴染みのラインナップで固められるように頑張ります。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。