一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
ダービー卿CTはマイネルアウラートに騎乗
2017/3/30(木)
先週はブランシュ(1人気)で勝利。状態の良さが返し馬から伝わってきて、とにかくスタートにだけ気をつけました。前走で特徴を掴めていたので、あとはマイペースで走らせてあげるだけでした。ウォーブル(3人気②着)は上手くいっているのですが、相手が悪かったという印象。フジマサエンペラー(4人気②着)は凄くいい背中で走りも良く、最後の直線まで何も言うことがなかったのですが……。並んでから自分で行こうとしないところがあり、今までの勝てそうで勝てないという実績にある意味で納得しました。
一方、日経賞のマイネルサージュ(12人気⑧着)は相手関係もそうですが、間隔が空いた分が大きかった。折り合いは問題なく、レースの運び自体も良かったのですが、追ってからの反応がもうひとつ。次走は東京戦を予定しているようなので、詰めて使えれば違うと思います。マーチSのコスモカナディアン(1人気⑫着)は結果として乾いた良馬場が理想だったよう。どちらかと言えば掛かっていくような馬が、脚抜きのいい馬場によって引っ掛かりのない走りになってしまいました。4歳馬なのでこれから良くなって克服していくとは思いますが、現状における課題が浮き彫りになった一戦でした。
この土曜は中山で5鞍に騎乗します。ダービー卿CTのマイネルアウラートは競馬が上手で中山コースは得意な馬。2走前のように、この馬の運びをするだけです。中間は一度も跨っていませんが、常にいい状態で持ってきてくださるので状態面の心配はしていません。勝負になるハンデ戦だと思いますので自信を持って乗ります。5Rのマイネルパロサントは速い脚に欠けるので、雨が降って時計がかかる馬場になるのはいいかもしれません。10Rのワンダフルラッシュは間隔が空いている分がどうかも、4歳馬なので成長力に期待。12Rのラスカルグレイはここ2戦、悪い内容ではありませんが、外目の枠が当たるようなら控える競馬もしてみたい。とはいえ、スタートが良いので無理に下げるつもりもなく、臨機応変に立ち回るつもり。十分にチャンスがあると思っています。
日曜も中山で8鞍に騎乗します。3Rのコスモディライトは力があるものの、折り合い面が難しい馬。終いに脚を使わせてあげる競馬ができれば着順を上げられそう。5Rのコスモクウェンチは同じコースの前走内容が良かった。とにかくゲートの中で落ち着かないので、上手に出してあげられれば差のない競馬になるはず。6Rのマイネルベレーロの休養前はコンスタントに使っていて、少し疲れがあったのかなという印象。休み明けでリフレッシュされていれば、自己条件なら差はないはず。
7Rのコスモバーダンの前走は休み明けでプラス20キロ。ここは9頭立てと頭数も手頃ですし、使われた上積みで上位を目指します。8Rのラペルトワは前走③着と力はあるものの気持ちが難しい馬。気分良く走らせてあげることを心掛けます。9Rのマイネルクラフトは2500mに距離が延びるのは歓迎で、12頭立てなら捌くのも大変ではないはず。昇級緒戦ですが、いきなりから頑張れると思っています。11Rのアルマエルナトは終いがいい馬なので流れひとつ。前走もしっかり脚を使って、自分の時計は走れています。ゲートをポンと出るイメージはないので、道中は折り合いをつけてロスなく展開を待ちたい。
今週月曜は競馬ラボのイベントが新宿であったと聞きました。コラムを連載し始めた柴山騎手がゲストだったそうで……。年齢が同じということもあり、彼とは気が合ってよく話をします。機会があれば僕も是非、参加してみたいと思いますので、スタッフの方も忘れずにお声がけくださいね(笑)。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。