一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
平場の成績で目立ちたい週末
2017/5/11(木)
先週はコスモクウェンチ(6人気)で勝つことができました。いつものようにいいスタートではありませんでしたが、東京1400mが合っているのでしょうね。道中グッと脚がタマるところがあり、そこから追い出しての反応も凄く良かった。思ったよりも早く先頭に立ててしまい、むしろヒヤヒヤしたほど。ジッとしていられない性格なのでゲートが鍵になりますが、昇級してからも楽しみになる内容でした。エスティーム(3人気②着)も勝ち馬が強かったというだけで、最後まで集中が途切れずに走ってくれました。かなり素質を感じるので早い段階で勝たせてあげたい。NHKマイルCのトラスト(17人気⑧着)は東京の長い直線を最後まで止まらずに頑張っています。時計が速かったという結果ですが、自分のレースはできています。マイルも乗りやすいですし、コーナー4つのコースにも上手く対応してくれる馬。能力が高いことは間違いなく、かみ合ってくれればどこかで大仕事をしてくれるという気持ちに変わりありません。
この土曜は東京で7鞍に騎乗します。1Rのマリノサクセスは追い切りに乗せていただき、まだ上手に体を使えていない一方で、いいフットワークはしていました。いきなり砂を被ってしまうケースもあるので、初戦に関しては期待と不安の半々です。2Rのリパーカッションは初めて乗せていただいた前走の内容が良かった。相手関係ひとつという段階にきています。4Rのフィーリングハートは精神面と肉体がまだかみ合っていないという感じ。いいモノは持っているので、着順を上げることはもちろん、なるべく次にも繋がるレースをしてあげたい。5Rのマイネルプラヌールの前走は、間隔が空いていた分なのか馬が気負っていました。上手くなだめて折り合いがつけばチャンスもあると思っています。久々に乗せていただく12Rのブルーボサノヴァは、展開に助けがほしいタイプとはいえ東京コースでいいイメージを持っています。道悪の成績も悪くないのですが、あまり時計が速い決着になってほしくありません。
日曜も東京で4鞍に騎乗します。2Rのマイネルハドソンはダート替わりがいいほうに向いてくれませんか。2100mという距離も合うと思います。3Rのコスモペリドットは南半球産で、間隔の空いた前走は馬の成長と中身が伴ってきていることを感じました。同じコースの続けて使える2戦目で楽しみにしています。4Rのコスモメイプルはなかなか気性面が難しい。その一方で、上手に競馬をさせてあげられれば能力的に差はない馬です。5Rのアニマルインミーも前走時に難しいところがあると聞いていたのですが、思っていたよりいい内容の競馬ができたので、続けて乗せていただけるのは嬉しい。まだ砂を被ったことがないので枠なども気になりますが、馬の経験を考えながら着順も上げたいです。
今週はメインの騎乗がなく、日曜に関しては前回がいつだったか思い出すのが難しいくらいの5Rで終了。ただ、翌日の月曜が盛岡(コスモレティクルム、ウインスーペリア)に遠征となり、水曜に川崎(コスモナチュラル、マイネルストラトス)のナイターも予定していますので、早く上がって来週に備えます。小回りの地方競馬参戦は勉強になりますし、そろそろ交流でも勝ち星を重ねられるように頑張ります。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。