一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
日本ダービーはマイネルスフェーンに騎乗
2017/5/25(木)
先週はエスティーム(1人気)で勝つことができました。まだ自分から抜こうとせずにブレーキをかけながら走っているので、正直なところ「勝てないかな……」と一瞬よぎりました。最後に相手がバテてくれたこと、馬が踏ん張ってくれたことが相まっての勝利。本当に能力がある馬なので、まずはひとつ勝てたことが嬉しかったです。アンネリース(8人気③着)も頑張ってくれました。一度使われて落ち着きがあったため、まずはスタートが速かった。今にして思えばスイートピーSは久々で馬が力んで走っていました。能力を再確認することができましたし、今度は秋に向けて結果を出していきたい。
この土曜は東京で4鞍に騎乗します。4Rのタックボーイのここ2戦は安定して走れています。1600mまでなら問題ありませんし、スタートにだけ気をつけて、流れに乗せる競馬で勝ち切ってあげたい。5Rのマイネルラプティスは色々な距離で乗りましたが、2400mは合っています。この条件で自分のリズムに乗せてあげられれば上位に残れてもいいはず。
日曜も東京で9鞍に騎乗します。日本ダービー(10R)のマイネルスフェーンは2週続けて追い切りに乗せていただきましたが、動きも息遣いも良く状態面は申し分ありません。何より落ち着いているのがいいですね。中間の感じならテンションを抑えて臨めるはずで、青葉賞⑨着がこの馬の力だとは思っていません。もちろん勝ちたいレースですが、そんな中で焦らず内容を求めて能力を出し切ってあげたい。今回が7戦目の手綱で、頼りない感じだった札幌戦当時を思えばドシッとして日々成長を感じています。まだまだ強くなると確信していますが、現時点での集大成となるような結果を目指します。目黒記念(12R)のマイネルサージュは前走時に思ったほど脚を使えませんでしたが、そこから状態的には上がってきています。重賞とはいえ今度はハンデ戦になりますし、イメージはありますのでこの馬に合う競馬をしてあげたい。より、折り合いに気をつけて、脚をタメてあげることがテーマです。
1Rのリパーカッションの前走は勝てるという感触のレースでしたが、惜しむらくは雨馬場で時計が早かった。乾いた馬場でやれれば改めて勝ち負けです。2Rのワッハッハは一戦毎にしっかり競馬ができていて、もうひと押しというところ。コースも合っているので相手関係ひとつです。3Rのキューンハイトは前走がいい内容でした。どうしてもダッシュがつく馬ではないので、追い込みが利くような流れになってほしい。4Rのコスモクウェンチは力をつけているので、3歳同士なら昇級戦でも頑張ってくれそう。この馬には東京1400mが何よりの舞台です。
5Rのマイネルツァイトはここ2戦が前を追いかけすぎて、まだ競馬を分かっていないという印象でした。間隔を詰めたことで、前走を覚えてくれていれば前進があっていいはず。6Rのシュピールカルテは東京1400mが一番合っています。前走も時計を詰めており、流れと乗り方ひとつで前進がありそう。8Rのマイネルクラフトはノドに不安がある馬で、ここ2戦は少なからず苦しがっている雰囲気がありました。ただ、中間の調教では走りきれている感じなので、続戦がいいほうに出てほしい……。能力は間違いないので期待を持って臨みます。
毎年のことではありますが、ダービーが終われば翌週から2歳新馬が始まります。ここ2週は調教にたくさん乗せていただいて、続々とゲート試験も受かっています。早速ですが来週は土日ともヴィオトポスとマイネルグリージョにそれぞれ乗る予定で、開幕週から狙っているだけあって仕上がりは進んでいます。次回の更新で改めて感触を書かせてもらいますね。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。