
一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
2歳新馬が始まります
2017/6/1(木)
ダービーウィークはリパーカッション(2人気②着)が最高着順。一走毎に状態が上がっており申し分ない気配でしたが、惜しむらくは相手が悪かった。2走前からまた時計を詰めて頑張っているので、本当に次走で何とかしてあげたい。日本ダービーのマイネルスフェーン(17人気⑯着)は落ち着きもあっていい雰囲気でしたが、あのスローにより馬が力んでしまいました。4コーナーを回ってもペースが上がらず、実質は直線だけという競馬。展開によるところが大部分と思っていますが、2000mまでで終いを活かす形がより合うのかなという感じがしないでもありません。目黒記念のマイネルサージュ(16人気⑫着)は2番手で折り合って、ほぼ並んで走っていたハッピーモーメントが③着に残ったと思えば悪くない位置と流れだったのですが……。オープンに昇級してからは苦戦していますが、揉まれながら力をつけていきそうな感触はあります。重賞でも人気以上には走れており、まだまだこれからの馬だと思っています。

この土曜は東京で9鞍に騎乗します。2Rのシンボリスーマランは久々の騎乗。最近は1800mあたりで安定していますが、中間の距離になるマイル戦は合いそうなイメージがあります。3Rのマスカレードシチーは気持ちひとつというタイプ。使い詰めで来ていたので、間隔が空くのはプラスになると思っています。2100mで実績もあるので、気分よく走らせて勝利を目指したい。5R(2歳新馬)のヴィオトポスは先週の追い切りからシッカリと動けており、気のいいタイプで初戦から期待しています。その割に落ち着きもあるそうで、今週も田村先生から好感触をお聞きしました。昨年も一発目の新馬(マイネルバールマン)を勝てましたが、狙っていきたいですね。6Rのピンキージョーンズの前走は、新潟の外回りで最後までシッカリと走れていました。直線の坂に一抹の不安も渋太い馬なので、持ち味を活かしつつ何とかしてあげたい。
8Rのダイワナッティーは前走も出遅れてしまったように、ゲートの中で動いてしまうのが課題。追走を考えれば距離が延びるのはいいと思うので、どうにか他馬と同じタイミングで出してあげたい。9Rのマイネルベレーロはどちらかと言うと器用に立ち回りたいタイプ。東京コースは鬼門ですが、勝手は知っているので頑張ります。11Rのオニノシタブルは勝利後に除外でいくらか延びたものの、引き続き順調と聞いています。昇級緒戦で展開が鍵になりますが、自分の型を崩さずに同じ競馬をするつもり。前走はかなり長くいい脚を使って差し切ってくれたので、降級馬を相手にどれだけやれるか楽しみです。連闘になる12Rのシュピールカルテは時計がかかってほしい……。前走も2走前と同じだけ走れているのですが、馬場や展開面に注文はつきます。
日曜も東京で6鞍に騎乗します。4Rのマイネルハレオはタフな東京コースの2400mがどう出るか。持ち味の自在性を活かしてひとつでも上の着順を目指します。5R(2歳新馬)のマイネルグリージョは先週乗せていただいて素質はありそうな馬ですが、体の使い方を覚えさせつつ、もう少し芯が入ってほしいところ。使って良くなっていきそうなタイプです。9Rのコスモピクシスは、ここ2走がシッカリと走れています。ただ、どうしても後ろからにはなるので、前が止まるような展開が理想です。12Rのブルーボサノヴァも前走はかなりいい脚を使っています。展開に左右される馬ですが、上手くかみ合えば勝ち負けまでいくという感触は掴めました。

日本ダービーも終わり2歳新馬が始まる今週は、来年のクラシックに向けてのスタートという意味で改めて気が引き締まります。そういった意味でも土日とも2歳馬に乗せていただけるのは本当に有難い。今週は重賞の騎乗こそありませんが、来週のエプソムCにマイネルハニーがスタンバイしています。1週前追い切りに乗せていただいてシッカリと負荷をかけましたが、何よりも馬がリフレッシュしているのがいいですね。本来の活気ある感じに戻っており、このタイミングで東京コースなら頑張ってくれそう。次回の更新で直前の感触を書かせてもらいます。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。