一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
あと3勝でJRA通算400勝
2017/6/15(木)
先週は日曜に2勝を上げることができました。リパーカッション(2人気)はレースが上手くなってきており期待していましたが、終いまでシッカリとこの馬の走りをしてくれました。続けて使ってきた東京コース、今回のタイミングで勝てて嬉しかったです。マイネルクラース(3人気)は物凄く強かった。乗っている自分も驚きました。ここのところゲートの中で落ち着かなくて、あのタイミングでスタート。道中は進んで行かない不安もあったのですが、前の馬が近づいてきたらヤル気を見せてくれて、手応えが良かったので追い出しを我慢したほど。一瞬で全頭を抜き去って8馬身差。元から能力は高い馬ですが、想像以上のダート適性で今後の楽しみが増えました。エプソムCのマイネルハニー(6人気③着)は最後100mくらいまで夢を見ましたが……。着差が着差だけに悔しいですが、あの内容なら馬を褒めてあげないといけません。フレッシュでいい頃の雰囲気に戻っていましたし、能力どおりの走りをしてくれてホッとしました。どこかでまた重賞を勝たせてあげたい。
この土曜は東京で6鞍に騎乗します。2Rのソードヴァルキリーは、僕が乗せていただいた2走前が中山1200mで忙しかった印象。東京ダート1600mで牝限定戦、この馬にとってはベストの条件ではないでしょうか。5R(2歳新馬)のマイネルユキツバキは1週前に乗せていただきましたが、申し分ない動きをしており感触がいいです。まだ気持ちが幼い感じはありますが、補えるだけの能力を持っており勝ち負けの期待をしています。6Rのアシュランスの1400mは歓迎材料。気持ちが前向きな分、前走は最後が甘くなってしまったので、この距離短縮であとひと押しを利かせたい。9Rのアンネリースの前走は、好スタートから自分のいいリズムで運べました。特にハナというこだわりはありませんが、やはり前目でスムーズな競馬をしてあげたい。古馬相手でも52キロのアドバンテージがあります。
日曜も東京で9鞍に騎乗します。1Rのコスモオペラは休み明けですが、いきなりやれるだけの力がある馬。ヨーイドンの流れが合わない印象なので、気をつけて理想の展開に持ち込みたい。2Rのマイネルエフォートは、交流川崎の前走が1500mで追走に苦しんだと聞きました。東京の2100mという距離はいいほうに出ると思います。4Rのマイネルクロニクルは8ヶ月の休み明け。当時は成長途上の印象があったので、この久々がいいほうに向いてほしい。
5R(2歳新馬)のマイネルアーリーは乗り込み豊富で気持ちが前向き。追い切りにも乗せていただいて感触を得たので、いきなりからの期待です。7Rのアキノバレリーナは乗せていただいた2走前が、最後まで一生懸命に走ってくれました。前走は牡馬相手で軽いダートも不向きだったと思うので、牝限定戦で良馬場なら前進があるはず。8Rのラペルトワはここ2走が好内容。合っているコースかつ少頭数なので頑張ってくれると思います。
9RのリヴェルディはユニコーンSを除外になっての再投票。追い切りでは気難しい面を感じつつも乗り味がとても良く、いい感触を掴むことができました。コースも合っていると思うので、枠順が出てからしっかり作戦を考えたい。10Rのマイネルフレスコは時計がかかる展開が理想なので、荒れてきた馬場は合うと思います。そんな中で、コースロスなく上手に立ち回りたい。12Rのホワイトウインドは、前回の休養前が力を出し切れずに終えてしまったという印象。立て直されて久々がいいほうに向いてくれれば、500万では上の力を持っています。タイプ的に間隔が空くのは気になりません。
おぼろげながら東京開催中に通算400勝を達成したいと思っていましたが、あと3勝というところまで来ました。今週もそれを狙える頭数に乗せていただきますが、意識しすぎることなく気負わずにひとつひとつ積み重ねていきたい。そして、もうすぐ大好きな夏の福島開催が開幕します。今年も主戦場にするつもりで、気持ちを切り替えられる2週間後が楽しみです。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。