一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
ラジオNIKKEI賞はマイネルスフェーンに騎乗
2017/6/30(金)
400勝のメモリアルこそ持ち越しになりましたが、先週はマイネルキャドーで勝つことができました。スタートは良くなかったものの、流れがゆっくりだったことで行き脚がついたので、無理に抑え込まず自分のリズムで行けたことが勝因だと思います。直線でフラフラしたり折り合いに課題もありますが、伸びのあるいい走りをするので今後も楽しみです。マイネルラプティス(5人気③着)は馬込みに入って追い出しを待たされる形になりましたが、そこからシッカリと反応して頑張ってくれました。1800mくらいの距離がいいですね。コスモドーム(6人気④着)も何とか③着に粘らせたいところでしたが、あとひと押しという段階まできています。次走はバーデンバーデンC(昨年⑤着)になりそうなので、そろそろ勝たせてあげたい。
開幕週の土曜は福島で9鞍に騎乗します。
1Rのコスモイグナーツの初戦はヨーイドンの競馬になり思っていたほど反応できず。いいモノは持っていますので、福島コースで良さを出してあげたい。5R(2歳新馬)のキサラギコマチは2週続けて追い切りに乗せていただきましたが、凄くいい走りをしています。スピードがあって気持ちが前向き、初戦から頑張れる仕上がりだと思います。8Rのカジノクイーンはデビュー戦以来の騎乗。ついていくのが大変だった印象が残っており、休み明けかつ芝替わりは気になる材料です。
9Rのエスティームの少頭数はいいですね。この馬は自分との戦いと言いますか、気持ちを最後まで切らさずに走れるかどうか。クラスが上がっても通用する能力は持っています。11Rのラクアミは栗東の音無厩舎から有難い依頼。ハンデ戦からのローテで斤量は増えますが、スピードがある馬で福島コースは合いそう。立ち回りの上手さを活かしたいです。12Rのコスモクウェンチは小回りの福島なら1700mもこなしてくれそう。むしろ合いそうなイメージがあるくらいで、前進に期待しています。
日曜も福島で10鞍に騎乗します。ラジオNIKEEI賞のマイネルスフェーンのここ2戦はもちろん相手もあるのですが、それ以上に流れが向かなかったという印象。56キロは楽なハンデではないものの、それだけの実績がある馬ですからね。この中間は跨っていませんが、手塚先生から状態の良さはお聞きしています。中山でも器用な競馬をしているので、コース取りひとつで小回りの1800mには対応できると思います。3Rのコスモオペラの前走は、相手が悪かったというところにつきます。福島コースはむしろ合うと思うので改めての期待。5R(2歳新馬)のマイネルミシシッピは良血馬でいいモノを持っていますが、調教で一歩ずつ前進しているという段階。レース慣れが必要かもしれませんが、経験を積んで大きく変わっていきそうなイメージです。
6R(2歳新馬)のマイネルニュースは先週の追い切りに乗せていただいた段階で仕上がりの良さを感じました。気持ちが前向きで、初戦からといタイプのように思います。7Rのキューンハイトの前走は直線の不利が痛かった。前半に行き脚がつかない馬なので、仕掛け所や捌きに気を配って立ち回りたい。9Rのパフォームは連闘。先週は休み明けの分か思っていたより反応できなかったので、地力を思えば2走目で変わってくれるはず。器用な馬なのでコースは合うと見ています。12Rのウランゲルの前走は千直でオッと思わせるような勝ち方。コース経験もありますし、先行できる馬なので開幕週でスピードを存分に活かしたい。
この話題も3週目に入りますが(苦笑)、今週こそは土曜の早い段階でJRA通算400勝を達成して勢いに乗っていきたい。お蔭様で開幕週から力が入るラインナップです。そして、次週以降も七夕賞のマイネルフロスト、前述したコスモドーム、福島テレビオープンのマイネルハニーなど楽しみな騎乗が続きます。大好きで待っていたコースでもあるので、充実の夏競馬になるように頑張ります。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。