一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
23鞍騎乗で巻き返したい週末
2017/11/9(木)
先週の3日間開催はラヴァーズインメイ(11人気)の③着が最高着順。内枠でロスなく競馬できたこともありますが、それにしても間隔を詰めて使っている中で、一戦毎に馬が力強くなってきました。今回は人気がない中での好走でしたが、着実にチャンスは近づいています。アルゼンチン共和国杯のマイネルサージュ(11人気⑪着)は行きたい馬を行かせてその後ろが理想と考えていたのですが、牽制し合っている中でハナに行くことになってしまった格好。最後で交わされてしまいましたが、直線に入って一瞬は残れそうな感触もあったほど。重賞に入って苦戦しているものの、かみ合ってタメが利くような展開になれば違った一面を見せられる気がします。
この土曜は東京で11鞍に騎乗します。1Rのマイネルアンドゥミの前走は、間隔が空いていた分か馬がかなり気負っていました。久々でも流れに乗れていたのは収穫で、一度使われたことでリラックスして走れれば前進が見込めます。自分的に感触も掴めたので、続けて乗せていただける利点を活かしたい。4Rのクインチの前走は、間隔が空いていた中でも頑張っていたように見受けられました。これまでキレ負けしてしまうところがあったので、開催が進んで適度に時計がかかる馬場になるのもいいと思います。
7Rのアンノートルの前走は直線でなかなか抜け出せるスペースがなく、あの部分がスムーズならと思うと悔しい④着。2走前の②着(17人気)がフロックではないことが分かりましたし、1ハロン短縮の1600mでも前半上手く流れに乗せてあげればチャンスがあるはず。8Rのウインマハロはコーナー4つのコースが理想ではありますが、少し時計がかかる今の馬場はマッチしそう。今週の追い切りに乗せていただきかなり調子も良かったので、着順は上げられそうな感触です。10Rのペルソナリテの前走は負けて強しと言いますか、本当にいい内容でした。馬の気持ちが落ち着いてきて、力まずとも1400mで流れに乗れるようになり、安定して力を発揮できるようになっています。かつては重賞、準オープンでも頑張っていた馬なので、自己条件の1000万下はそろそろ勝たせてあげたい。
日曜も東京で12鞍に騎乗します。1Rのマノンは一生懸命に走ってくれる馬で、初めて乗せていただいた前走が好内容。着順が良い馬も多いようですが、立ち回りの上手さを活かして前進を目指します。3Rのアサヒキリは時計がかかる乾いた馬場で走らせてあげたいタイプ。今週の天気予報であれば多少なりとも前進が見込めます。4Rのマイネルプリンチペの状態面は変わらずに順調。着順を落としたとはいえ、2走目の前走はスタートが良く道中の行きっぷりも違いました。少頭数で競馬もしやすそうなので、改めて力が入ります。
8Rのマイネルヘミニスは徐々に力をつけて、川崎の交流で勝ってくれた馬。昇級緒戦かつ久々と条件が楽ではないので、次に繋がるレースにしてあげることを一番に考えたい。10Rのエントリーチケットは、チューリップ賞で乗せていただいた感触や実績からも1400mが一番合いそう。上手く流れに乗れば最後まで頑張ってくれる馬なので、何よりもゲートを決めてあげたいです。11Rのコスモドームはそこまで行き脚がつく馬ではなく、使える脚も一瞬なので、ヨーイドンの競馬が向いていないタイプ。多頭数のオープン戦なので、前半とにかく流れてほしい。とりわけ東京コースでは展開が鍵になります。12Rのブルーボサノヴァも展開面が気になるところ。天候に恵まれず速い馬場で走ってきたので、乾いたダートでやれそうなのはいいですね。かみ合えば人気以上に頑張れるイメージです。
前回更新でも話題にしましたが、先週水曜は葉加瀬太郎さんのコンサートに行ってきました。毎回ながら満席かつかなりの盛り上がりで、足を運ぶ度の進化に感動させられるばかり。最高のリフレッシュにもなり、気分を上げて競馬に臨んだのですが……。先週は競馬終わりにビッグレッドファームグループのオータムパーティーがあり、昨年より約40名も多くの方がいらした中で、未勝利で臨む結果になったのが本当に申し訳なかったです。それでも、たくさんの会員さんにお声をかけていただいて大変励みになりました。今週も多くの馬に乗せていただくので、勝利を積み重ねて恩返しをしていきたいです。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。