一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
皐月賞はマイネルファンロンに騎乗
2018/4/12(木)
先週はラプターゲイル(11人気)で勝つことができました。初めて着けたブリンカーが効いているのもありましたし、しっかりスタートを出したら道中は噛むくらいの行きっぷり。最後まで走る気を持続してくれて、能力をやっと発揮できた印象です。初めて乗せていただいたサイドストリート(3人気2着)は能力がある馬ですね。相手が悪かったことにつきます。マイネルアンファン(8人気2着)は流れも向いてくれましたが、スムーズとはいえ道中の進みが悪かった。反応次第で差し切りがあった展開で、そのあたりが今後の課題ですね。ニュージーランドTのコスモイグナーツ(11人気10着)は行く馬の後ろでハミを抜いて上手く走れていました。返し馬でも落ち着いており、控えても大丈夫そうな感じがありましたし、次に繋がる内容だったとは思います。さすがにマイル重賞だと瞬発力ある馬に一気に来られてしまうので、2000m前後で淡々と走らせる展開が合っていると思います。
この土曜は中山で11鞍に騎乗します。1Rのポートナイトサイトにとって中山1200mは力を出せる条件。前走は続戦で馬のテンションも高かったので、この休み明けがいいほうに向いてくれると思っています。3Rのウサギノダンスの前2走は相手が悪かっただけでキッチリと走り切っています。改めて勝たせてあげたい一戦です。4Rのマイネルアーリーは初ダートの前走が思っていたよりも走れなかった。荒れてきた時計のかかる芝は合っていると思うので、しぶとさを活かす競馬に徹します。6Rのマイネルレヴリー初めての芝1200m。この馬も時計がかかってきた馬場とかみ合ってくれませんか。
8Rのタックボーイは昇級してからが思わしくない着順。コースは合うと思うので、次に繋がる内容にしてあげたい。9Rのコスモレリアは実績どおりに中山コースが合っています。引き続き状態もいいと聞いていますので、この開催で勝たせてあげたい一頭です。10Rのエネスクの前走は外から競られてしまったこともありますが、それよりも休み明けの分だったと思います。厩舎から使って上がってきたと聞いており、馬の地力は知っているので巻き返しに力が入ります。12Rのエターナルヒーローは約3年ぶりの騎乗でしょうか。最近の成績は安定していませんが、当時のイメージはあるのでキッカケを掴みたい。
日曜も中山で8鞍に騎乗します。皐月賞のマイネルファンロンは最終追い切りに乗せていただきましたが、先週しっかりやっていたので内容的には終い重点。一戦一戦、状態を上げてきましたが、改めてもうひとつ良くなっています。いい意味で抑えるのに苦労するくらい元気一杯。競馬では折り合いに気をつけようと思いますが、行きたそうな馬が少なくないメンバーと外すぎない枠順もかみ合ってくれそう。天候は気にならない馬とはいえ、雨が降って時計がかかるようならなお理想。もちろん相手は強力ですが、何としてもダービーの権利は取りたい一戦です。1Rのアンシンカブルはかねてからいい馬だと思っており、前走でやっと良さを出せました。体がないので、当日は少しでも回復して出てきてほしいと願っています。
3Rのマイネルトワイスは2戦目で行きっぷりが変わり、着順が落ちたとはいえ時計を詰めています。まだ上積みがあるはずで、改めて前進に期待しています。4Rのサンクエトワールは距離延長がプラスに出そう。小柄な牝馬ですがいいところを持っており、着順を上げられそうなイメージです。6Rのエルヴスは新馬で勝たせていただいた以来の騎乗。ここまでの足踏みは以外なので、違った面を引き出してあげられれば。何とか結果を持ち直してきた中山開催も最終週。色んな協力をしていただいていますが、とりわけお世話になっているトレーナーさんとの試行錯誤が結びついてきた印象はあります。自分が上手く乗れたと思う時の感覚と、見てもらって体の使い方が良かったと言われるレースがまた違うというのが新鮮です。一年前までは自分だけで考えながらのスタイルでしたが、違った視点から見た弱点を矯正できているというのは大きい。長く乗り続けられるというところにも繋がるはずで、より結果を出して携わる方々に恩返ししていきたいです。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。