一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
3日間開催はすべて中山で騎乗
2018/9/13(木)
秋の中山開幕週はマイネルアルケミー(1人気)で勝つことができました。新潟コースの前走は上手くコーナーを回れなかったので、右回りで変わってくれるとは思っていました。気をつけていたスタートも出てくれて申し分のない内容。早目からハナに立ってフワフワしながらの運びで2馬身半差ですから、昇級してからも楽しみです。スペキュラース(5人気2着)もレオンドーロ(2人気2着)も2戦目で力は出し切れましたが相手が悪かった。能力の高さを改めて感じましたし、次走こそは勝たせてあげたい。ネコワシ(5人気2着)は馬を気にするところがあるので、1枠からでも最後はゴチャつかない外を回せて良かった。クラスに目途が立つ収穫ある一戦でした。
3日間開催初日の土曜は中山で8鞍に騎乗します。3Rのマイネルサーパスは初戦から力を見せてくれましたが、先頭に立ってからフラフラと若さを見せてしまった格好。ウッドの追い切りでは右回りも気になりませんでしたし、レースを経験した上積みが大きそうなタイプです。4Rのクインチはダートに替わってから崩れず頑張っているように見えます。連戦の疲れがなければもうひとふん張りしてくれるはず。7Rのエンチャントメントは順調に使えずここまできてしまいました。思い入れある血統で力がある馬なので全力を尽くしたい。
8Rのラプターゲイルは昇級した前走が案外の内容。そこから立て直したので、少しでも慣れが見込める、次に繋がるようなレースがしたいと思っています。連闘になる9Rのサイドストリートの前走は内が速かったのでジッと持っていったのですが、上手く脚がタマっているという感じではありませんでした。芝ダートは関係なく自分のリズムでスピードを活かす形のほうがマッチしそうな印象を受けたので、改めていただけたチャンスをモノにしたい。12Rのマイネルツァイトは崩れずに自分の時計だけは走ってくれる馬。コース替わりと合いそうな馬場でもうひと踏ん張りがありませんか。
日曜も中山で7鞍に騎乗します。3Rのバイラールの初戦は1200mがいかにも忙しかった。追走に苦しみつつ上手には走れていましたし、距離が延びて前進が見込めます。5R(2歳新馬)のニューデイズドーンは乗り込み十分も、なかなか時計が詰まってこないという現状。先々に繋がることを意識しながら乗ってあげたい。6Rのマイネルラッジョはいつも力を出してくれますが、相手が悪いというレースが続いています。とはいえ、上のクラスでやれる先がある馬なので、何としても勝たせられるように最善を尽くします。
9Rのキューンハイトは器用に立ち回れないところがあるため中山コースがどうか。最後は頑張ってくれるので、少しでも展開が向いてほしい。11Rのマイネルオフィールはオープンに入った前2走も崩れず堅実に走っています。長かった休み明けの分がどうかも、相手なりに踏ん張ってくれるはず。12Rのラヴタクティクスは中央再転入の前走、南関東で連勝してきた力を見せてくれました。能力の高さを感じましたし、今回も勝ち負けの期待を持って臨みます。
月曜も中山で7鞍に騎乗します。1Rのコスモハヤテの初戦は1200mで追走に精一杯。ダートは問題ありませんでしたし一生懸命に走る馬なので、距離延長によりついて行ければ違うはず。2Rのワイルドオーキッドは小柄な馬ですが、最後まで諦めずに走ってくれます。立ち回りも上手なので、中山コースは向きそうなイメージです。3Rのシックガニアンは夏場の強行軍にもへこたれず頑張って走ってきました。ジワッと長くいい脚を使って結果を出してきたので、中山コースが鍵になりそうです。
5R(2歳新馬)のマイネルロングランは追い切りに乗せていただいて仕上がりの良さを感じました。ただ、ひと息で走ってしまうところがあるので、息を入れつつ最後まで気持ちが続くかどうか。そういった意味で短距離は合っているとは思います。8Rのラルーナは初ダートの前走の感触こそ悪くありませんでしたが、今回は500万への格上挑戦。一生懸命に走ってくれる馬なので、ひとつでも上の着順を目指します。9Rのフロムマイハートの前走は得意の良馬場でもスタートしてから進んで行かず。その原因こそ分からないのですが、良馬場であればいつ巻き返してもおかしくない能力を持っています。12Rのウォーブルは、ここのところ落ち着きすぎていたという印象。休み明けがいいほうに向いて、かつてのようにガムシャラにガツガツ走ってくれるようなら、中山1800mという条件は合っています。
先週は日曜の競馬終わりから、関東の騎手クラブ全員で箱根のホテルおかだという温泉宿に一泊旅行がありました。調整ルームはともかく、競馬を離れるとジョッキー同士が先輩後輩なしにワイワイと盛り上がる機会もないので、とにかく楽しい一夜でした。そうそう、書きそびれていましたが、先日はAAAのコンサート(東京ドーム)にも参戦。周りの年齢層とは浮いていましたが、Nissyの人気に圧倒されつつ楽しい時間を過ごしてきました。子供たちの影響でCDから入りましたが、パフォーマンスあってのグループだなと改めて思い知らされました。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。