一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
開幕週の3日間は東京で騎乗
2018/10/4(木)
先週はネコワシ(2人気)で勝つことができました。調教で状態の良さは感じていましたが、欲しかった外枠と相まって理想どおりのスムーズな競馬。それにしても、軽い馬場に対応して強い内容だったので、昇級後も頑張ってくれると思います。レオンドーロ(1人気2着)は道中のどこかで落鉄してしまったのが痛かった。馬場も緩かったので多分にその影響があったと見ています。ウインフェニックス(11人気3着)は調教の感触も良かったのですが、緩い馬場がマッチしてくれた印象。人気は全くありませんでしたが、条件がかみ合えればまだまだ頑張れる馬ですよ。エネスク(6人気3着)は、あれだけ速い時計に対応してくれたのは大きな収穫。使って良くなるタイプなので、次走からより楽しみです。
開幕週の土曜は東京で8鞍に騎乗します。1Rのドラマの初戦は体が上手く使えずついて行けませんでした。距離延長と2戦目の上積みに期待したい。2Rのコスモハヤテは気持ちが散漫なので、今回はチークピーシズを着けてもらう予定。3戦目でもありますし、これによって集中してくれれば着順は上げられるはず。3Rのマイネルペルマナンの初戦は集中し切れていなかった印象。距離延長はプラスに出そうなので、2戦目で競馬を覚えていてくれればというところ。
8Rのコスモコレクションは少しでも乾いた馬場が理想。1400mのほうが競馬はしやすそうなので、当日の馬場状態が鍵になります。9Rのサンデームーティエは東京コースの1000万でも善戦しています。ここは少頭数なので、自分のリズムで走れれば再昇級でも崩れず踏ん張ってくれるはず。10Rのコスモロブロイは気持ちを途切れさせずに走らせられるかどうか。休み明けは少し気になりますが、クラスが上がっても相手なりのタイプだと思います。12Rのウォーブルの前走は、行きっぷりや最後の踏ん張りに復調を感じました。休み明け2走目で、よりしぶとさを活かしてあげたい。
日曜も東京で5鞍に騎乗します。2Rのワイルドオーキッドは小柄な牝馬ですが、一度も崩れずにここまで頑張っています。今回も崩れるイメージはなく、この先を考えてもそろそろ勝ち上がらせてあげたい。3Rのスペキュラースの前走はスムーズな競馬ができましたが、相手が悪かったという印象。この馬も立ち回りが上手いので、改めて勝ち負けを意識して臨みます。9Rのペルソナリテは東京コースのこの条件が合っている馬。今夏は状態面がもう少しだったので、立て直しての前進に期待しています。
月曜も東京で9鞍に騎乗します。1Rのオーレアは、右回りの前走はモタれがきつかったと聞きました。左回りと初ダートでの前進に期待しています。2Rのニューデイズドーンの初戦は追走に苦しみました。もう少し使ってからのイメージですが、一歩でも前進できるように頑張ります。3Rのマイネルサーパスは気難しい馬なので、広いコースに替わるのは大いにプラス。最後まで気を抜かさずに走らせて、上手くゴール板で抜け出すような競馬が理想です。5R(2歳新馬)のアリスブルーは除外になった先週の追い切りに乗せていただきました。いい走りをするものの気が入っていない感じだったので、1週多く追えた分はプラスに出そう。使ってからのほうが良さそうなタイプですが、そのあたりで気持ちが乗ってくれていたらと思います。
6Rのラヴタクティクスの前走は、砂を被ったことで馬が怯んでしまいました。距離が延びることで競馬しやすくなると思いますし、ごちゃつかせない立ち回りを意識したい。外枠を引ければより理想です。8Rのマイティーワークスの前走は、忙しかった1200mでもしっかり脚を使ってくれました。本当にいい状態で続戦しているので、ベスト条件のここで勝って間隔を空けてあげることが理想です。9Rのフロムマイハートはここのところ気持ちが散漫なので、チークピーシズ着用を試してもらう予定。これにて前向きさが戻るようでれば、開幕週の良馬場と相まって頑張れませんか。10Rのマイネルカレッツァは昇級でも十分にやれる馬ですが、使ってどんどん調子を上げていくタイプ。一番いい条件ではあるものの、今回に関しては間隔が空いた分がどう出るでしょうか。ともあれ、東京の連続開催で楽しみな馬です。
先週は競馬終了後に一度慌てて美浦に帰り、白山大賞典でマイネルバサラ(6人気4着)に騎乗するため、改めて月曜に金沢へ向かいました。台風の影響で常磐線が2時間半遅れとなり、予定より時間はかかりましたが、何事もなく前日中に到着できたことが何より。駅に隣接しているお寿司屋さんで美味しい地魚握りの盛り合わせをいただき、束の間の息抜きもできました。レースは先着された馬たちとの斤量差が大きかった。浦和記念を勝てたことは嬉しかったのですが、その後はとにかく斤量面に泣かされています。馬は頑張っており、あのコースなら3着までに残れる立ち回りなのですが……。交流重賞、地方の馬場は合っているので、どこかでまた勝たせてあげたいです。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。