一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
アルゼンチン共和国杯はトウシンモンステラに騎乗
2018/11/1(木)
先週はラヴタクティクス(3人気)で勝つことができました。砂を被らない競馬が理想なので外枠も良かったですし、1400mくらいのほうが楽にいい位置が取れます。思ったより反応も良く抜け出してから遊んでいる感じが、使いながら充実してきた証拠でしょう。レース毎に手の内に入れられているので、昇級してからも楽しみです。ロージズキング(6人気2着)は調教に何度か乗せていただいたことがあり、競馬を見ていた感じとレースに行ってのイメージもかみ合いました。スタミナがあってしぶとさがセールスポイントなので、距離延長も良かったのだと思います。ウインフェニックス(9人気2着)は時計の速い馬場をこなしてくれて、立ち回りも本当に上手くいきました。一瞬勝ったかと思いましたが、あれで差されてしまったら相手が強かったと割り切ることができます。アルテミスSのへリンヌリング(15人気14着)は重賞でメンバーが揃っていたことにつきますが、進んで行くべきところでハミが抜けてしまったりイレ込んだりと気持ちの面も安定していない感じ。経験を積んで、適鞍でまた勝ち上がることが当面の目標ですね。
この土曜は東京で8鞍に騎乗します。2Rのダンクフェストは連闘がいいほうに向いてくれれば。ダート2戦目でもう少し流れに乗っていきたい。3Rのコスモアイトーンは最後にいい脚を使ってくれる馬。東京コース2戦目で、少しでも流れが向いてくれればと思っています。4Rのアナザークイーンは距離が2000mに戻るのは歓迎。いい位置で運んでいけそうなイメージです。自分が乗った2走前はキレ負けしてしまった感じもあるので、器用さを活かしてキレを補うような乗り方を心掛けたい。
6R(新馬)のフロラシオンは今週の追い切りに乗せていただき、動きは悪くありませんでした。それでも、まだ芯が入っておらず幼い面も見受けられたので、使って良くなっていくタイプかもしれません。7Rのトッカータはダートの走りは悪くないので、ここで距離を延ばしてリズム良く走れるかどうか。気難しいところはありますが、重賞を走ってきた馬で力はあります。10Rのマイネルファンロンは追い切りに乗せていただいて、具合の良さを確認しています。昇級でも54キロのハンデなら十分に通用する馬。本当に元気が良すぎるくらいなので折り合い面にだけ気をつけて乗りたい。
日曜も東京で8鞍に騎乗します。アルゼンチン共和国杯のトウシンモンステラは51キロで有難い依頼。かねてから書いているように僕は減量とは無縁です。8歳にして馬も51キロは初めてのようなので、とにかくハンデを利してロスなく立ち回りたい。1Rのマイネルロングランの初戦は芝1200mが忙しかったのか、馬が戸惑ってついて行けませんでした。あの経験を忘れずにいてくれれば、距離延長のダート替わりと相まって前進できるはず。 7Rのグラスルーナはデビュー戦で乗せていただきましたが、芝だったからか前に引っ掛かりがなく進めなかったという感じ。ダートに替わってからは内容が安定しているようで、あとは久々の分がどう出るか。10Rのマイネルクラースは仕掛け所が難しい馬なので、捌いていける少頭数はいいですね。降級馬でもあり、デビューからコンビを組ませていただいてきた利を活かして力の違いを見せたい。
先週は2週間空いての騎乗でしたが、切り換えて前向きに乗れたと思います。岡田繁幸社長にアメリカのセリに連れて行っていただいたことなどもあり、フレッシュな気持ちで臨むことができました。ただ、
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。