一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
カペラS勝利の勢いに乗って!
2018/12/13(木)
先週はカペラSのコパノキッキング(1人気)で勝つことができました。ノボバカラがゲートに入らなかったことで待たされたことにより馬が落ち着きすぎてしまい、スタート一歩目の反応が鈍くなり両脇から寄られ、道中はあのポジション。本当はもう少し前目に行くつもりでしたが、色々と想定はしていたのでリズムを崩さないことを心掛けました。ハミを取りだしたところからスムーズに競馬させてあげたことが、最後の瞬発力に繋がったのだと思います。それにしても、乗っていて周りが止まっているのかと錯覚するほどの凄い脚。このようなチャンスをいただけたことに感謝していますし、またチャンスがあれば是非コンビを組ませていただきたいです。コスモハヤテ(3人気)はまさにブリンカー効果が覿面。ここ何走かはフワフワしながらの競馬だったのですが、今回は最後までしっかり集中して走りきれました。
マイネルミュトス(5人気2着)はいつもスタートが速い馬ではないのですが、3走目で瞬発力に磨きがかかったという印象。ようやく素質に体がついてきたので、ここから更に良くなってくれると思います。マイネルアルケミー(3人気2着)は後続を離しているだけに残念でしたが、着差以上に勝ち馬から余裕を感じたこともたしか。ともあれ、自己条件をすぐに勝てるだけのスピードを再認識させてもらいました。アルママ(2人気4着)は内枠を引いてしまったことで、スムーズに先行してしまおうという選択。楽に先頭に立ってこれならという思いで乗っていましたが、ときおり調教でも見せていた、一頭になると気を使って走る面が競馬でも出てしまいました。まず3コーナーから外に逃げようとし、直線に入ると気を抜いて、直線は内ラチの支柱の広いところへと寄ってしまったという格好。最後までしっかり走れば力が違うという手応えだったので、そのあたりを修正して次こそはという思いです。26日に調教再審査があるため、年始からの仕切り直しになります。
この土曜は中山で5鞍に騎乗します。2Rのボーンインメイの前走は初ダートでしたが、見ている限り悪くない競馬だったと思います。鍵になるスタートを決めて、流れに乗せて行ければダート2走目で前進できるはず。7Rのマイネルモーディグはセンスが良く、夏までに勝てそうなところまでいっていた馬。少し間隔は空きましたが、自分のリズムで走れればチャンスはあると思います。9Rのスペキュラースは今週の追い切りに乗せていただきましたが、とても調子が良く好感触でした。相手なりに走れて競馬が上手なタイプなので、昇級してもヒケは取らないはず。中山コースはむしろ東京コースより向く馬です。12Rのコスモレリアはあと一歩というところで立て直して久々になりますが、500万では地力が間違いなく上位の馬。休み明けがどうかというところにつきると思っています。
日曜も中山で9鞍に騎乗します。2Rのモーンストルムは中山コースを経験したことがあり、もう一歩という段階まできている馬。あとひと押しを利かせてあげるアプローチで勝利を目指します。3Rのアセンダントは久々と相まって追い切りに乗せていただきましたが、休む前に比べればしっかりした印象を受けました。次に繋がる内容を意識しつつ前進させてあげたい。7Rのピンキージョーンズは使いながら上向いて安定した走りを見せています。どのコースでも流れに乗って器用に競馬ができるので、このタイミングで何とかできればと思っています。
8Rのシュピールカルテはダート戦で500万を勝っている降級馬。休み明けは問題ないタイプなので、緒戦から頑張ってくれるはず。10Rのアルマエルナトは前走がそうだったように乗り方ひとつで上位を狙える馬。中山コースにも実績があるので、いいイメージを持って臨めます。11Rのマイネルハニーは1週前の追い切りに乗せていただきましたが、動きも内容も申し分なかった。斤量58キロでも今回はオープン特別ですからね。重賞ではもう一歩の競馬が続いていますが、この舞台なら力の違いを見せたいところです。
先週日曜の競馬終了後はカペラSの勝利を祝って、Dr.コパさんこと小林祥晃オーナーと村山先生にお食事に誘っていただきました。小林オーナーは阪神JFにラブミーファインを出走させており中山競馬場にはいらっしゃらなかったため、祝勝会場でのご対面。ゆっくりお食事は初めてだったのですが、こうやって勝たせていたたいた後に「運が8割を占める」という言葉には感銘を受けました。その運を上げるための努力を怠らず、いただいた運を逃すことなく結果に結びつけていきたいと思います。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。