一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
気持ちを切り替えて中山開幕週
2019/2/21(木)
東京最終週は勝つことができず、キングキャラット(7人気2着)が最高着順。陣営に聞いていたとおり、スタートは速くなくとも仕掛けてからの反応が良く、終いはいい脚を使っています。惜しむらくは展開面でしたが、ここ2走の安定もうなずける能力を感じました。コスモエスパーダ(7人気3着)は上手に立ち回ってくれて、この馬としての力は出し切っています。東京コースであのような競馬ができれば、すぐに勝ち負けのチャンスがくるはず。フェブラリーSのワンダーリーデル(14人気9着)も精一杯の走りをしており、思い描いていたとおりのアプローチができました。あれだけ盛り上がったレースに乗せていただき、最後のG1参戦だった沖先生はじめ関係者の方々に感謝しています。
開幕週の土曜は中山で5鞍に騎乗します 10Rのマイネルスフェーンは終いは脚を使ってくれるのですが、ここのところの感触から開幕週の速い馬場がどうか。多頭数で上手く流れが向いてほしいところ。11Rのパラダイスガーデンはとにかく51キロのハンデを活かしたい。かつてはダートで走っており、洋芝もこなしている馬。雨が降って少しでも時計がかかる馬場になってほしい。12Rのセガールモチンモクは調教に何度か乗せていただいている馬。追い切りの感触が良く、一度使って順調に上向いているはず。中山コースも向きそうなイメージがあります。
日曜も中山で4鞍に騎乗します。3Rのマイネルリッターは大型馬で、時期的に馬体が絞り切れずに苦戦してきた印象。ここのところ暖かくなってきたので、少しでも減って出てきてほしいところ。乗り味が良く、かねてから能力を感じている一頭です。8Rのマイネルレンカは東京マイル戦を使った前走が道中のタメが利いていました。距離適性は1600m寄りかもしれませんが、コース形態的にはコーナー4回のほうが向いているので、道中遊ばせながら上手くタメを利かせたい。かみ合えばもって頑張れていい馬です。12Rのトッカータは折り合い的に1200mがマッチしています。終いの脚に懸ける形がベストだと思うので、少しでも展開が流れてほしい。
あっという間に開催場替わり。東京開催は2、3着が多く勝ち切れなかったので、気持ちを切り替えてこの開幕週からリズムを変えていきたい。そうそう、別の話題で書きそびれたのですが、先週はビックレッドファームに足を運んでゴールドシップ産駒に乗ってきました。自分が乗せていただいた2歳馬も然り、総じて操縦性が高くて、やんちゃなお父さんとは少しイメージが違うんです。バネがあるところは共通しているようですが。その日の現地はマイナス11度で本州とは別世界。それでも暖かいくらいというのですから、牧場スタッフの方々には頭が下がる思いでした。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。