一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
皐月賞はナイママに騎乗
2019/4/11(木)
先週は2着が3回と勝ち切ることができず。レオンドーロ(2人気)は今回もスタートがあまり良くなかったものの、その後はやや速いペースを上手く立ち回って最後は追い詰めてくれましたが……。クビの上げ下げによる悔しい惜敗でしたが、自己条件ならやはり力上位なので、早い段階で1勝馬クラスを勝たせてあげたい。コスモエスパーダ(1人気)は言うことのない内容で、あの運びで差されてしまっては勝ち馬が一枚上だったと認めざるを得ません。前走のようなこともなく、最後まで集中して走れていました。初めて乗せていただいたエピローグ(7人気)はいい馬ですね。今までのレースを見て、小崎調教師にもヒアリングをし、自分なりに考えた戦法があの逃げでした。惜しむらくは4角で勝ち馬にポッカリと進路ができてしまったんですよね。他馬の動きひとつというレースでしたが、いいタイミングで乗せていただけました。
この土曜は中山で9鞍に騎乗します。1Rのセイドアモールは前走も上手に走れていましたが、モマれないスムーズな競馬がより理想。枠順を踏まえて他馬の出方を見つつ、ロスのない立ち回りをしたい。2Rのマイネルイヴィンスはなかなか乗り難しい馬ですが、ここ2走は抜群の状態でした。最後まで追い掛けられる目標がある展開が理想で、これまでの経験から使える脚も把握できています。何とかこのタイミングで勝たせてあげられるよう最善を尽くします。4Rのフライクーゲルはいい馬ですが決め手に欠ける部分があるため、今回はダートに戻していただきました。かつて使っていた当時は成績が伴っていませんが、力をつけていればもう少し走ってくれませんか。
5Rのシックガニアンは休み明けの前走が悪い内容ではありませんでした。上手く流れに乗れる展開になれば、一度使った状態面と相まって前進が見込めます。6Rのスペキュラースは初めての1200m。前半は忙しくなる可能性もありますが、それと同じくらいに変われる要素を秘めているように思います。9Rのマイネルエキサイトは速い脚に欠けるところがあるので、今の中山の荒れてきた馬場はマッチしそう。先行力が持ち味なので、上手く自分のペースに持ち込みたい。10Rのマイネルアンファンは阪神で4着だった前走を見ても、やはり馬が良くなって力をつけていますね。今の状態なら中山1800mも問題ないと思うので、準オープン2戦目でどれだけやれるか楽しみです。
日曜も中山で7鞍に騎乗します。皐月賞のナイママは弥生賞後に中央の武藤厩舎に転厩し、そこからの1ヶ月はほぼ毎日乗せていただいています。乗り味の良さは相変わらずで、場所に慣れてからは落ち着いてドシッと構えており、いい状態に調整できました。8枠18番の大外枠になりましたが、いい方に考えれば自分のリズムで競馬できるのはこの馬にとって何より。内の出方を見ながら、臨機応変に対応していきたいです。1Rのルンルンヘレンドは先週の調教に乗せていただきましたが、既走馬が相手になるとデビューが遅れてしまった分の不利はありそう。使ってから良くなるタイプかもしれません。
4Rのスタープレゼンスはスタートがもうひとつでしたが、初戦の印象は悪くありませんでした。非力さこそ残りますが、タメてもうひと脚使わせるアプローチで前進させてあげたい。7Rのマイネルツァイトは使われて順調に上向いた前走が好内容。今回もゲートを出して、上手く流れに乗せていきたい。少頭数もかみ合うのではないでしょうか。9Rのマイネルズイーガーは小倉で頑張ってきた疲れもあったのか、昇級した前走の止まり方が急。息遣いに課題がある馬なので、1ハロン延びる今回は道中息の入れ方がポイントになりそうです。
あっという間に中山開催も最終週。残った宿題を少しでも減らせる結果となるよう精一杯頑張ります。そして、来週からは東京開催が開幕しますが、中央場所に腰を据えて励んでいくスケジュール。前半戦で力が入るのは、やはりアルママが出走を予定している青葉賞です。ひとつ勝てたことにより先週までは少し楽をさせましたが、今週も追い切りをやりましたし、ここから逆算してネジを巻いていきます。距離は延びて問題ないはずで、相手が強くなればそれに合わせて頑張ってくれそうなタイプ。賞金的に一抹の不安はありますが、出走できることを信じてしっかりと仕上げていきます。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。