一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
日本ダービーはナイママに騎乗
2019/5/23(木)
新潟に遠征した先週日曜はリープフラウミルヒ(8人気2着)が最高着順でしたが、外回りの長い直線をあの速い上がりに対応してくれたのですから力をつけています。着差以上に勝ち馬は強かったものの、3着馬にハナ差競り勝ったように内容もありました。アルマエルナト(8人気4着)は初めての千直競馬でしたが、合っているという感触はありました。年齢的な衰えは一切感じませんし、改めてこの条件にチャレンジさせていただきたい気持ちです。
この土曜は東京で2鞍に騎乗します。3Rのコスモアイトーンは前半どこまで流れに乗せていけるかがポイント。4角までの位置取りに気をつけて、ヨーイドンの展開にはさせないつもりのアプローチをしてみたい。12Rのダイワエトワールは水曜の追い切りに乗せていただきましたが、とても操作性が良く血統を感じさせる背中でした。最近はゲートの駐立が課題になっているようで、スムーズに出して、モマれない位置取りで運べるかどうかが鍵になりそう。スタートに細心の注意を払って被されない競馬を心掛けます。
日曜も東京で7鞍に騎乗します。日本ダービーのナイママは京都新聞杯から中2週の出走ですが、頭が下がるくらいタフな馬で順調にきています。先週は体を戻すことに重点を置いた追い切りでしたが、今週は負担がかからない程度に脚を伸ばしてみたところ思っていた以上の反応。前走からまた一段状態が上がったのではないでしょうか。皐月賞に続いての8枠、17番という枠順ですが、スタートの良さを活かして自分のリズムで運べるという意味でいいほうに捉えたい。当日は馬場傾向を意識しながら最善の結果を目指します。
2Rのマイネルイヴィンスはブリンカーを着けた前走がより集中して走れていました。強い馬が一頭いたという悔しい競馬が続いていますが、今度こそ勝ち切ってあげたい。3Rのビーサプライズドは間隔こそ空きましたが、前走は地方の馬場と忙しいコースが合わなかったという印象。距離短縮とはいえ、東京コースは合うイメージがあります。5Rのコスモハヤテはブリンカーを着けた前走で一変してくれました。休み明けで昇級の分がどうかも、かねてから素質を感じている馬で相手なりに頑張ってくれるはず。8Rのマイネルクラフトの前走は、速い上がりに対応して最後まで頑張っています。馬が苦しくならないよう、4角までの持っていき方に気をつけたい。10Rのプレミオテーラーは1000万を勝たせていただいた同じ競馬場の同じ距離。クラスが上がって速い時計に苦戦していますが、ハンデ戦の52キロで持ち味の先行力を活かしたい。
休日の月曜、東京国際フォーラムで千秋楽だった3大ヴァイオリニストコンサートに行ってきました。葉加瀬太郎さん、高嶋ちさ子さん、古澤巌さんによるまさに夢の饗宴で、本当に素晴らしかった。葉加瀬さんのソロコンサートにはよく足を運んでいるのですが、コラボレーションによる新たな一面に刺激と感動を覚えました。ダービーウィークの幕開けにパワーをもらえましたし、こういった息抜きは大事ですね。いいジンクスになったと思えるよう、今年のダービーも精一杯頑張ります。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。