一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
今週も楽しみな2歳馬がデビュー
2019/6/13(木)
先週はエプソムCでアンノートル(6人気)に乗せていただき7着。降り出しがもっと早くてもよかったくらいで渋ってきた馬場は問題ありませんでしたが、展開面が思っていたよりも落ち着いてしまったのが痛かった。枠も枠だったのであれ以上は外を回せませんし、早目に仕掛けてはいるものの、上がりの競馬とかみ合いませんでした。力を出し切っての結果ではないので、重賞に入ってもやれるという感触に変わりはありません。
この土曜は東京で5鞍に騎乗します。1Rのコスモカッティーボは中1週ですが、使ってさらに一段上がったという印象を受けています。初戦はスムーズさを欠いたところもあり、2走目で着順を上げられるイメージ。5R(2歳新馬)のマイネルワルツは2週前の追い切りに乗せていただいた段階からかなり素軽くて反応が良かった。そこからやる毎に良くなっていると聞いており、頭数が多いところに上手く入ってくれたので期待しています。7Rのコスモエスパーダの前走は、連戦の疲れが少しあったのかなという反応でした。今回はそこから3週空けてのローテなので、いつもの状態で出走できれば勝負になるはず。10Rのコスモヨハネの前走は、4ヶ月半の休み明けでも気持ちが入っており頑張ってくれました。こちらも中3週で上積みが見込め、開催が進んで馬場も合うはずなので楽しみです。
日曜も東京で8鞍に騎乗します。1Rのグランデエスは、今回と同じ条件の前走で着順を上げてきました。前回は中山での騎乗でしたが、また違ったイメージで前進させてあげられるよう臨みます。2Rのマイネルイヴィンスの前走は、多頭数の内枠でロスも少なくない一戦でした。道中は馬込みで集中させて、捌きやすい少頭数を活かすようなアプローチがしたい。速い馬場こそプラスではありませんが、決めてあげないといけない馬です。4Rのルシェルドールは初出走馬も、かねてから素質を聞いていただけあって、今週の坂路でいい動きをしたようです。ともあれデビューが延びた経緯もあり既走馬が相手。金曜の朝に軽く乗せていただいて、感触を確かめてから臨みます。5R(2歳新馬)のベルシックは小柄な馬ですが、とても力強い走りをしています。ここ2週の追い切りに乗せていただきましたが、先週より今週と素軽くなっており初戦から力を出せる態勢です。
6R(2歳新馬)のメモリアは素軽い走りをする一方で、心身ともに幼い印象も受けます。使いつつ良くなっていくタイプかもしれません。7Rのラプターゲイルの前走は時計を詰めてなかなかの内容。上手な競馬で常に人気以上に走ってくれるので、今回も相手関係につきるのではないでしょうか。9Rのコスモロブロイの前走は、休養効果で気持ちが戻っているように見受けられました。あの行きっぷりであれば、一度使っての前進が見込めそう。10Rのマイネルクラフトは前走が上手くいったように、4角まで苦しくならないアプローチで持っていけるかどうかがポイント。2走前のハンデ戦から1キロ増えますが、天候と馬場状態が合いそうな分で改めてチャンスがあるはず。
火曜から毎日6~7頭の2歳馬の調教に跨って、あっという間に競馬がある週末というように充実した毎日を送らせてもらっています。月曜は力を蓄える日にしているため小ネタを探すのに苦戦しますが、息抜きを兼ねてHuluなどで今クールもドラマは観ています。一番のお気に入りは俺のスカート 、どこいった?ですかね。応援している福山さんが主演なので集団左遷も毎週楽しみにしていますが、入れ替えでこちらも大好きな池井戸潤さん原作のノーサイドゲームが始まるんですね。季節の移り変わりをこんなところでも感じますが、あと2週の東京開催でひとつでも多くの勝利を目指します。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。