一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
ラジオNIKKEI賞はマイネルサーパスに騎乗
2019/6/27(木)
先週はアドアステラ(2人気)で勝つことができました。馬がリズムに乗ったところでいいポジションに押し上げられたように、一番の勝因は大外枠だったように思います。かねてから堅実に走ってくれていましたが、昇級に弾みがつくような内容でした。ビジュティエ(11人気2着)はテンションが高い馬なのでもっと進んで行くと思っていたのですが、前半戸惑ってしまって最後方から。道悪はこなす血統なので内を突く進路は迷いませんでしたが、能力だけで14頭を差しています。続戦により競馬を覚えてくれていれば、次走はまた違ったアプローチができるはず。
開幕週の土曜は福島で全12鞍に騎乗します。2Rのグランデエスの前走は最後にしっかり脚を使ってくれて、以前に乗せていただいた時からの成長を感じました。小回りコースは合いそうなイメージなので、どこかでひと脚を使わせるような競馬がしたい。3Rのフェアリースキップは距離が短くなるのが何より。どうしても一生懸命になりすぎるところをなだめれば、芝ダートは問わないと見ています。4Rのコスモエスパーダは福島の1800mという舞台は合うと思います。ただ、続戦により苦しくなってか、馬が自分からヤメてしまうような面が出てきました。リズムを崩さず流れに乗せて、何とか勝ち切るための策を講じたい。
5R(2歳新馬)のユニティコは今週の追い切りに乗せていただいて、素質を感じることができました。ただ、どちらかと言えば使って上向いていきそうなタイプ。現段階でどこまでの競馬ができるかは未知数です。9Rのマイネルザウバアの前走は持ち味を出してくれましたが、休み明けの分だったと思います。使った後も順調と聞いており、間違いなく福島コース替わりはプラス。大きく着順を上げたい一戦です。12Rのキングキャラットは2走前に乗って使ってくれた末脚からも、次で勝ち上がったのは納得。大型馬の休み明けで初コースと楽な条件ではありませんが、昇級でも十分に通用するだけの馬です。
日曜も福島で6鞍に騎乗します。ラジオNIKKEI賞のマイネルサーパスは昨年10月の未勝利勝ち以来の騎乗。昇級で今回のコースを制しており、その後に大舞台を3戦して、競馬を覚えてきたように見受けられます。持ち時計もある馬で、リズムさえ崩さずに乗ることができればヒケを取らないはず。このタイミングでいただけたチャンスを結果で返せるように頑張ります。7Rのシックガニアンはよーいドンよりも、自分から動かして行けるようなコースと展開が向くタイプ。タフな馬で調子落ちは感じないので、もうひとつ前進させてあげたい。
週中の水曜は大井の交流競走に参戦。アナザークイーン(5人気)が待望の初勝利を上げることができました。どうしても集中力を欠く面があるため、今回は初めてブリンカー着用。効果は覿面で、返し馬では気持ちが入りすぎていたほど。そんな心配をよそに、大外枠も相まってスムーズにポジションが取れ、向正面から何もせずに馬なりで上がると、最後は突き放してしまうという表現が合うような強い内容。かなり能力はある馬なので、あの勝ち方がキッカケになってくれそうです。さすがは帝王賞当日とあって、8Rだったというのにパドックからの熱気、最後の直線の声援が凄かった。そんな中で勝たせていただいて、乗っていても気持ちが良かったです。励みになりましたし、あんな雰囲気のメインにも乗れるチャンスを掴めるように精進します。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。