一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
紫苑Sはレオンドーロに騎乗
2019/9/5(木)
夏競馬最終週は勝利を上げることができず。中央平地の未勝利では最後のチャンスだったサクラザチェンジ(6人気5着)とコスモビックラコグ(5人気5着)は番組的にメンバーが揃ってしまったことが全てだと思います。どちらも精一杯に頑張ってくれました。新潟記念のケントオー(17人気15着)は4コーナーまでは悪くない走りだったのですが、直線に入って追い出してから反応できず。さすがはオープン馬という乗り味だったので、久々の分が敗因ではないでしょうか。
気持ちを新たに、秋開幕週の土曜は中山で4鞍に騎乗します。紫苑Sのレオンドーロは1週前追い切りに乗せていただきましたが、その時点で成長を感じさせてくれる動き。レースが上手な馬で、右回りの2000mでは崩れたことがありません。格上挑戦の重賞とはなりますが、力を出してくれれば差はないと思っています。10Rのコスモヨハネの前走は勝ち馬に0秒2差の5着と定量戦でも頑張っています。今回はハンデ戦で54キロ。コースを選ばない馬なので頑張ってくれると思います。
日曜も中山で4鞍に騎乗します。4Rのアイアンゾーンは使われつつ状態を上げ、一戦毎に力をつけています。昇級で時計短縮が鍵になりますが、今の雰囲気であれば相手なりにまとめてくれるはず。どれだけ通用するか楽しみです。7Rのタイドオーバーは初めての1200m。前走の内容なら流れに乗って行けそうで、久々を使った上積みも見込んでいます。8Rのアルママはここ2週の追い切りに乗せていただき、夏を越して心身ともに成長したという感触があります。休み明けの分で少し余裕はあるものの、自分でブレーキをかけてしまうような気難しさが改善したのが何より。自己条件の1800mと舞台もベストなので、緒戦から力を見せてくれるはず。9Rのキューンハイトは前走の新潟外回りであれば、コーナー4つの中山コース向き。とりわけ開幕週でコース取りが鍵になる脚質ですが、捌きやすい頭数で前進させてあげたい。
秋競馬の開幕週に合わせ、今週火曜から美浦の新しいウッドコースで調教できるようになりました。以前のDコースの場所に作られた、すなわち一番外にあるコースなのでコーナーがゆったり。直線に坂がないので時計は出ますが、右回りにも左回りにも対応できるのは大きいと思います。今週は手探りというムードで入っている馬が多くはありませんでしたが、需要は高まっていくと思いますね。ポリに近い軽さでクッションが良く、体力がない馬でも走れそうな馬場。強い負荷という点ではどうかも、そのあたりは陣営ごとの使い方なのだと思います。しばらく新聞の調教欄に注目してみてはどうでしょうか。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。