一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
東京で土日18鞍に騎乗します
2019/11/7(木)
先週はコスモクウ(13人気3着)が最高着順。2戦目でもハミの取りが悪く、前半は押して押してのアプローチ。それでも直線で本気になってからはしっかり脚を使っており、秘めている力は間違いありません。集中して走れるようになればすぐ勝ち上がれる馬です。京王杯2歳Sのカイトレッド(7人気7着)は時計が速かったこともありますが、思っていた以上に追走が忙しかった。最後はしぶとく脚を使っており、距離がもう少しあったほうが良さそうな感じを受けました。半兄のナイママとはタイプこそ違いますが、条件さえマッチすれば活躍していく馬だと思います。
この土曜は東京で7鞍に騎乗します。1Rのアルヒミストの初戦は素直で一生懸命な走りで、新馬とすれば文句なしの内容。時計短縮が課題になりますが、2戦目の上積みと素質でクリアしてくれませんか。2Rのイデアイホマジョルは、初ダートの前走が砂を被っても動じることなく上手に走ってくれました。同じ舞台の乾いた馬場で前進に期待しています。3Rのマイネルキアロの前走は止まり方が急で、夏場の猛暑が堪えていたのだと思います。初戦と同じ1400mに戻ればもっとやれるはずで、間隔を空けて立て直したこともプラスに働きそう。
4Rのマイネルラクスマンの初戦は3着も、馬がどこでハミを取っていいのか分からずに走っていたという印象。前走も同じように見えました。手頃な頭数でもあり、いい経験にもなるようなアプローチをしてあげたい。7Rのキューンハイトは今回も競馬がしやすくなりそうな少頭数。欲を言えば前が引っ張ってくれる、この馬とかみ合う展開になってほしい。8Rのアピールバイオは久々の騎乗ですが、同じレースで対戦したことも多く、安定した走りをしているイメージがあります。マイル戦がピッタリという印象を受けるので、もう一度研究して持ち味を引き出してあげたい。12Rのコスモコレクションは地方笠松で勝ち上がっての昇級緒戦。2勝クラスでもやれてくるとは思いますが、ペース慣れが必要かもしれません。次に繋がるアプローチを心掛けます。
日曜も東京で11鞍に騎乗します。1Rのマイネルフェラッカは福島1200mから連闘してのダート替わり。大型馬で疲れは問題ないと思うので、そろそろ適性が掴めればと思っています。2Rのポレーナの初戦は、新馬の流れでは不利な8枠と考えればよく頑張っています。体がないので当日の馬体重など気になるものの、凄く一生懸命に走って根性があります。もう少し成長しつつかもしれませんが、2戦目の前進に期待しています。
3Rのマイネルエピキュアの初戦は時計が速い馬場に戸惑って追走に苦労しました。2戦目の上積みと乾いた馬場とで目途を立てたい。6R(新馬)のラウダーテは先週のゲート練習と最終追い切りに乗せていただきました。凄く気持ちが前向きでゲートもポーンと出ていきます。初戦から流れに乗って、上手に競馬ができそうなタイプと見ています。11Rのトミケンキルカスの前2走は、重賞でメンバーが厳しかった分もあると思います。オープン特別のハンデ戦では差がない実績があり、少し荒れつつも良というのはマッチする馬場。下が緩くなると走りづらいタイプなんです。1週間の締めくくりとしていい結果を出したい。
先週日曜は急遽の騎乗(7R)を合わせて3鞍と、ファンの皆さんにも心配をおかけしましたが、一転して今週は多くの依頼をいただくことができました。本当に有難いですね。レースで初めて跨る馬も多く、あまり見通しを書けませんでしたが、それぞれしっかりと研究して感謝の気持ちを成績に繋げたい。引き続き応援よろしくお願いします。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。