一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
スマイルカナと臨む赤松賞
2019/11/14(木)
先週は2頭の3着が最高着順。マイネルラクスマン(7人気)はひと息入れたことで、馬がしっかりして随分良くなっていました。ただ、気持ちが入りすぎている面もあったため、道中でハミを抜いて上手に走れるかが今後の課題。修正したい点はハッキリしており、明るい見通しを感じています。マイネルインパクト(5人気)は、2走目で競馬を覚えてくれていました。まだ体を使えていない面もありますが、持っている素質は確かでこれから良くなっていく馬です。
この土曜は東京で5鞍に騎乗します。2Rのコスモタイシの前走は、ブリンカー効果もあって内容がグンと良くなりました。同じコースの続戦もプラスで、改めて頑張ってくれると思います。7Rのスマートサーブルの前走は、馬が最後に嫌気をさしている印象を受けました。2回乗せていただきましたが、前半じっくりと進めたほうが終いまで頑張ってくれそう。力はあるので乗り方ひとつで巻き返せます。12Rのコスモヨハネの前走は、最後にこの馬らしい脚を使ってくれていました。馬の状態も上がってきているので、捌きやすい頭数で展開がかみ合えば前進が見込めます。
日曜も東京で10鞍に騎乗します。1Rのマイネルチューダの前走は外枠が堪えました。器用さがセールスポイントなので、内目で脚をタメる競馬が理想。もっとやれるイメージがある馬です。2Rのラシカルガイブは立て直した前走が、休養前よりもいい気配になっていました。休み明け2戦目の牝馬限定戦で、もうひとつ前進に期待しています。6R(2歳新馬)のマイネルリベラルは何週か追い切りに乗せていただき、少しずつ素軽くなってきました。それでも、体を使い切れていない面があるので、レースを経験させつつのタイプかもしれません。7Rのマイネルナイペスの前走は、休み明けで昇級だった分ではないでしょうか。コースは向きそうな印象なので、一度使っての状態面に尽きるところです。
9Rのスマイルカナは夏場にじっくりと充電して、本当に良くなるのを待っての始動。追い合い面に課題があった馬ですが、2度乗せていただいた追い切りでは上手く走れています。かねてから楽しみにしていた秋緒戦で、今の落ち着いた雰囲気であれば自信を持って臨めます。10Rのマイネルアンファンは時計面に限界があるので、乾いた馬場で走らせてあげたいタイプ。前走はいかにも久々という止まり方だったので、上積みは見込めるはず。11Rのニットウスバルの前走は、ブリンカー効果で前向きさが出ていました。追い切りの雰囲気がさらに良かったと聞いており、このハンデ戦で何とかキッカケを掴みたい。12Rのコスモカレンドゥラは競馬に行って、気持ちのコントロールが利くようになっていると聞きました。実戦で初めて乗ることになりますが、併せ馬の相手として走りを確認し、乗りやすそうなイメージを掴んでいます。結果を出したい一戦になります。
先週日曜(10日)は競馬終わりにビッグレッドファームグループのオータムパーティーが京王プラザホテルでありました。毎年盛り上がりに驚かされるのですが、今年は更に参加人数が増えての大盛況。その場でファンの皆さんにも温かい声援や熱いご質問をいただいて、結果で恩返ししたいという気持ちがより強く芽生えています。後半戦はなかなか勝ち切ることができずに自分としても歯がゆい思いをしていますが、引き続き一鞍ずつ気持ちを入れて勝利を目指します。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。