一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
勢いに乗りたい中山開幕週
2019/11/28(木)
東京最終週はプレミオテーラー(12人気2着)が最高着順。コースや馬場状態、枠順もかみ合っての走れる舞台で、悔しい結果以外は上手くいったレースでした。勝ち馬の地力に屈したとはいえ、最後までよく踏ん張っています。先週は珍しいくらいに馬場が悪くなり、コース取りや馬のバランスに気を使いながらの競馬が続きました。そんな中でも外国人ジョッキーはソツなく馬を動かしており、冷静に周りの動きを見極めています。一緒に乗っているだけで勉強になりますし、こういった経験を結果に繋げられるように研究を続けたい。
この土曜は中山で6鞍に騎乗します。2Rのアルヒミストは2戦目も状態と内容は悪くありませんでしたが、経験馬相手の1400mが忙しかったという印象。1800mへの距離延長はプラスに出るはずで前進を見込んでいます。3Rのマイネルパイオニアはガラッと変わるタイプではありませんが、使いながら少しずつ前進しています。4戦目でまだ上積みが見込めるので、更に上位を目指して頑張りたい。9Rのコスモギンガはブリンカーを着用したことにより集中して走れるようになりました。今の態勢であれば中山コースも問題ないはずなので、持ち味を活かすアプローチを心掛けます。12Rのナーゲルリングは躓いてしまった前走は度外視としても、2走前が昇級のペースに戸惑っていたという印象。本質、中山コースは得意だと思いますので、次にも繋がる競馬をしてあげたい。
日曜も中山で7鞍に騎乗します。3Rのマイネルラクスマンの前走は、休み明けとすれば文句のない内容。厩舎サイドに使った上積みが大きいと聞いており、気負い過ぎる面を上手くコントロールしながら勝利を目指したい。4Rのマイネルキアロの前走は間隔が空いていた分の着順で、内容は悪くありませんでした。初コースになりますが、中山のほうが断然で合いそうなイメージ。前進できると期待しています。6R(2歳新馬)のシマナは今週の追い切りに乗せていただきましたが、まだ走り切れていない感じがありました。使いながら上向いていくタイプかもしれません。
8Rのアナザークイーンは大井の初勝利の内容が良く、昇級の前走でも頑張ってくれました。休み明けの分で実戦勘だけどうかも、むしろ成長を楽しみにしています。9Rのアリンナは52キロで出走させてもらえるのが魅力。このクラスでも通用する力はあると思いますので、ロスなく立ち回って結果を出してあげたい。10Rのマイネルツァイトも断然で中山のほうが合っているタイプ。休み明けを叩いて上積みも見込めるので、クラスに目途を立てる競馬ができるはず。11Rのアルマエルナトはいつも書くのですが、8歳ながら年齢の衰えが全くありません。ごちゃついてしまった前走も進路さえ空いていれば、まず勝ち負けだったと思っています。5勝中4勝が中山コースで、組みしやすい頭数でもある今回はとにかく結果に拘りたい。
あっという間に今年最後の中山開催です。勝ち星が伸びないままこの時期まで来てしまいましたが、大好きなコースでもあり、追い込みの1ヶ月にしなければなりません。宿題という意味では、来週の自己条件(3勝クラス)に出走するナイママを何とか勝たせてあげたい。クラシック3冠を走り切ったパートナーで、この中間もずっと調教に乗せていただいています。今回は1800mを予定しており、なるほど距離もマッチしそうな予感。最終追い切りの感触など次回の更新で報告させてもらいますね。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。