一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
自己条件で勝ちたいナイママ
2019/12/5(木)
中山開幕週はマイネルラクスマン(2人気3着)が最高着順。返し馬では上手に走れており「これなら大丈夫」とみて内枠の分でポジションを取りに行ったのですが、途中からまたムキになってしまったのが誤算でした。気持ちのコントロールが利かず、現状は乗り難しい面があります。競馬を教えつつ、精神面の成長が待たれるところです。アルマエルナト(5人気4着)は落ち着いたペースを前付けできて、1200mに戻った今回も頑張ってくれました。年明けには9歳を迎えますが、まだまだ活躍が見込めます。
この土曜は中山で9鞍に騎乗します。1Rのコスモサンゴは前2走が物足りない内容で、立て直しての4ヶ月ぶり。どこまで成長しているかが鍵になりそうです。3Rのバトーブランはタフな馬で、使いつつ内容が良化中。距離とコースも合いそうなので、デビュー戦以来の騎乗も力が入ります。4Rのマイネルチューダは1400mに距離を詰めた前走で3着。ただ、中山であれば1600mがマッチしています。使いつつ力を付けているので、このタイミングで勝たせられるように全力を尽くします。
8Rのシュピールカルテはクラスが上がった前2走で頑張れています。競馬に馴染んで砂を被っても我慢できるようになったのが強み。出たなりの位置で進めて時計がかかってくれれば、より前進が見込めそう。9Rのコスモカッティーボの前走は、小回りで距離短縮だったせいか行きっぷりがもうひとつ。この中間も落とすことなく乗り込めており、中山コースなら前進させられるイメージ。2週続けて跨っており、馬はしっかりデキています。10Rのマイネルラックは自分から競馬をつくれるタイプではなく、展開面が鍵になります。ただ、2走前のように、かみ合った時の末脚は強烈。焦らずにじっくりと構えたい。11Rのマイネルユキツバキは今年1月以来の騎乗ですが、そこから3勝するなど力を付けています。とりわけ前走は小回りのコースの内を突いて伸びており、内容も秀逸でした。大きな馬なので、流れに乗せてスムーズな競馬を心掛けます。
日曜も中山で8鞍に騎乗します。2Rのコスモレペティールは前走こそ崩れていますが、中山コースは向いており巻き返し可能。初となる2000mもマッチしそうなイメージです。7Rのコスモインペリウムの前走はスタート後の躓きもありましたが、休み明けの分が大きかったと思います。ダートの走りは悪くないので、流れに乗せて立ち回れれば前進が見込めます。
8Rのマイネルナイペスは昇級後の2戦が追走面で苦戦しています。中山コースは合いそうなので、ジワっと脚を使わせるアプローチをしてみたい。10Rのナイママは大きな変化こそありませんが、中間もしっかり乗り込んできました。クラシックの一線級でずっと戦ってきた馬が、今回は3勝クラスに出走。頭数が手頃なので1800mにも上手く競馬できるはずで、改めて力があるところを見せてほしい。ずっと桃色帽を被ってきたので、密かに枠順も気になっています。12Rのコスモヨハネの前走はスタートも良く流れに乗れました。その上でしっかりと脚を使っています。ゲートなりのところがあるので、戦法を決め付けず臨機応変に立ち回りたい。
先週は日曜の競馬終わりにヒルトン東京で行われたノルマンディーオーナーズクラブの懇親会に出席してきました。今回も会員さんに熱心に声をかけていただき、もっともっとクラブに貢献したいという思いが強まりました。牧場でギッチリ仕上げてくる感じではないのですが、段々と勢いをつけて丈夫で強い馬をつくり上げているイメージ。先週はアリンナに乗せていただきましたが、この先もチャンスをもらえるように励んでいきます。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。