一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
小倉大賞典はアンノートルに騎乗
2020/2/20(木)
先週は土曜小倉のマイネルポインター(9人気2着)が最高着順。不器用なところがあり少しモタモタしたものの、直線に向いてからはしっかり脚を使ってくれました。力をつけており、重い馬場も気にせず走っていました。日曜東京のコスモオリ(3人気)は3着争いを制してデビュー戦とすれば及第点の内容。背中が凄くいいので、競馬を経験したこの先が楽しみです。共同通信杯のエン(6人気7着)は芝向きの走りで上手に競馬はできましたが、相手が強くもうひと脚を使えず。地方で連勝して2ヶ月の間隔もあったので、まだ良くなる余地を残していた印象です。成長を見守りつつ、先々が楽しみな気持ちは変わりません。
この土曜は小倉で7鞍に騎乗します。2Rのタイニーパワーは東京からの連闘になりますが、距離が延びて競馬はしやすくなりそう。輸送さえクリアしてくれれば前進があると思います。4Rのステラドーロは2着に頑張ってくれた後も滞在して順調。同じコースの続戦でもあり、ここで勝たせてあげたいという気持ちにつきます。
5Rのアイオープナーは前走こそ崩れましたが、競馬が上手な馬でコースも合うと思います。乗り方ひとつで大きく巻き返せるはず。6Rのボーイズオブサマーは復調に戸惑っている印象も、いい頃に戻りさえすれば1勝クラスでもというイメージ。順調に使われている上積みに期待します。10Rのミラビリアは使った後も順調に乗り込んでおり、調教の動きは悪くないんです。乾いた馬場ならと思っているだけに、土曜の天気予報は恨めしいですね。
日曜も小倉で8鞍に騎乗します。小倉大賞典のアンノートルは栗東で調整してくださっての直前輸送。気持ちが入って、いい頃の雰囲気に戻っていると聞いています。ドボドボでなければ道悪もこなすので、ベストと思われる1800mのハンデ戦で巻き返したいという気持ち。2Rのベルシックは初めてのダート1700m。これまでの競馬からダートも距離延長も悪くないと思うんです。この番組でキッカケを掴んであげたい。3Rのマイネルピカソは立て直す前の前走で良くなってきそうな感触がありました。1200mには対応できそうなので、この休養がいいほうに向いてくれればと思っています。
冒頭に記した4Rのマイネルポインターは連闘。使った後も順調で、1Fの距離延長がいいほうに向くと思います。5Rのスペロラルーチェの前走は、最後にしっかりと脚を使えています。手頃な頭数なので、ロスなく立ち回って前進を目指します。8Rのコスモレリアの前走は、カラ馬に絡まれてしまって力を発揮できなかったと聞きました。2000mへの距離短縮もいいほうに向くはずで、滞在であれば連闘も問題なさそう。
先週は東京競馬後に1日だけ自宅に戻り、翌日には小倉へとトンボ帰り。長いようで短かった5週に渡る滞在生活が終了します。小倉では先週までで2勝ともどかしい成績なので、何とか最後にスッキリ帰れるように精一杯頑張ります。ともあれ、自分の手によって馬の調整をし、実がある時間にはなりました。来週からは中山に腰を据えて騎乗(チューリップ賞当日は阪神)する予定ですが、初心に返った気持ちを忘れずに精進していきたい。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。