一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
いつもと変わらず全力を尽くします
2020/2/27(木)
小倉最終週はマイネルポインター(4人気)で1着入線したものの2着に降着。一度使ったことで行きっぷりが良くなり、馬は結果としての着順以上の走りをしてくれました。馬場を意識しすぎたこともあり、斜行してしまったシーンでは勝ち馬が見えておらず、その後続にも不注意で迷惑をかけてしまいました。ジョッキーのみならず、オーナー、関係者の方々にもお詫びいたします。申し訳ありませんでした。
小倉大賞典のアンノートル(7人気10着)は返し馬から具合の良さを感じており、向正面から進出して3コーナーまでは「これなら!」と思っていたほど。しかし、直線に向いてからの止まり方が急で、不可解な負け方ではありました。重賞でもやれるはずの馬なので、しっかりと敗因を究明して次走以降に活かせればと思っています。
開幕週の土曜は中京で5鞍に騎乗します。2Rのセイドアモールは昇級しての2戦が持ち時計ほど走れていない案外の結果。本来は堅実で、力さえ出し切れば1勝クラスでも太刀打ちできるはず。走りがいい左回りで巻き返せませんか。12Rのコスモエスパーダはスタートで躓いてしまったこともありますが、もうひとつ気持ちが乗っていなかった印象。未勝利の頃から散漫な部分がありますので、芝に戻って気持ちを乗せるアプローチをし、最後まで頑張らせてみます。
日曜も中京で4鞍に騎乗します。2Rのマイネルインパクトの前走は、今回と同じコースで前目の位置を取れており、一戦毎に上向いて内容も良くなっています。かねてから能力を感じている馬なので、それを勝利に繋げたいタイミングです。6Rのコスモケルビンの前走は休み明けの分だったと見ています。左回りの1800mは合いそうな印象なので、一度使った上積みと相まって前進させてあげたい。7Rのマイネルミュトスの前走はいい脚を使っており、常に力を出し切って着順ほどは負けていません。捌きやすい頭数は歓迎のタイプなので、勝ち負けを意識して頑張ります。11Rのナーゲルリングはハンデや馬場、展開もかみ合って器用な競馬をしてくれました。昇級しての開幕週と未知なる舞台になりますが、ソツのない立ち回りで持ち味を引き出してあげたい。
今週はJRAから発表がありましたとおり、新型コロナウイルスの感染を防止するために無観客競馬になります。世界中の流行を思えば妥当な判断で、競馬が開催される以上は、いつもと変わらずに全力を尽くします。そして、自分は冒頭で書いた降着の制裁により、来週と再来週は騎乗停止。中間の調教に跨っており、状態も良さそうなスマイルカナやナイママに乗れないのは本当に残念ですが、この悔しさを今後に繋げられるように反省して自分を見つめ直したい。戒めの意味を込めて、騎乗停止中のコラムは自粛させてください。ファンの皆さんにお会いできる週末になっていることを祈りつつ、改めて3週間後(3月18日予定)に更新させてもらいます。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。