一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
桜花賞はスマイルカナに騎乗
2020/4/9(木)
先週はマイネルイリャルギ(2人気3着)が最高着順。前走から時計も詰めて、この馬とすれば一生懸命に走っています。毎度同じ表現になってしまいますが、相手関係ひとついう段階です。期待していたナイママ(7人気7着)はスタートから進みが悪く、上手く流れに乗ることができませんでした。目に見えない疲れがあったのかもしれませんが、最後は頑張ってくれています。ここでひと息入れるという話なので、立て直した復帰戦から巻き返していきたい。
この土曜は福島で3鞍に騎乗します。2Rのコスモビートイットはデビューから3戦続けて勝ち負けのところまできていた馬。不良馬場の前走は疲れがあったのかもしれません。今回の間隔がいい休養になってくれていれば、緒戦からいい競馬になるはず。福島コースも合っています。6Rのマイネルアプラウスは初ダートの前走(小倉)で新味を見せています。似たコース形態のダート2戦目で前進させてあげたい。10Rのリョウガは2週続けて追い切りに乗せていただきました。凄く素直な馬で動きも良かったです。3戦目での初芝が鍵になりますが、今後に繋がる競馬ができればと思います。
日曜は阪神で3鞍に騎乗します。桜花賞のスマイルカナは理想的な2枠3番。自分が邪魔をすることなく、この馬のスピードを活かして、とにかく気分よく走らせてあげたい。ある程度流して、よーいドンにならない展開に持ち込めると理想ですね。先週しっかりと追い切ってからはグンと状態が上がっており、当週の輸送を考慮した仕上げを経て、レースがピークの状態に持っていけるはず。自分とすれば、同世代の牝馬同士なら力差はないと思っています。10Rのナーゲルリングは51キロの軽ハンデ。時計がかかる馬場が理想の馬ではありますが、実績ある斤量なので上手く立ち回ってあげたい。
報道にも出ましたとおり、来週からしばらくは土日通じて、同じ開催場でないとジョッキーは騎乗できなくなります。もちろん新型コロナウイルスの影響です。今週は美浦から福島、福島から阪神、帰宅するまでも移動があるので、すべて本番と思って細心の注意を払います。トレセン内はピリピリしながら、誰もがウイルス予防と戦っています。自分にとってはファンの皆さんに笑顔を分けられる絶好の舞台。ご自宅のテレビの前から、ご声援よろしくお願いします。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。