一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
今週は福島で騎乗します
2020/4/16(木)
先週は桜花賞でスマイルカナ(9人気)が3着と頑張ってくれました。想像以上に雨が降って馬場が悪く戦前は心配しましたが、ノメることもなくあれが思い描いていたとおりの競馬です。良馬場ならもっといいパフォーマンスができたという気持ちもありますが、それは相手も同じでしょうからね。トレセンにいる時のふっくらした馬体が輸送で減ってはしまいましたが、競馬場に入ってからは落ち着いていたそうで、返し馬の納まりなどからもトライアルを使った価値があったと思います。力が通用することが改めて分かったので、この先も決まったローテに人馬一体で立ち向かっていきたい。
コスモビートイット(2人気4着)は勝ち馬に前でフラフラされてしまって追うに追えず、勿体ない競馬になってしまいました。あれがなければ勝ち負けになっていたので、次走で巻き返したいと強く思います。休ませたことでリフレッシュされて、プラス12キロは成長分です。マイネルアプラウス(8人気4着)は心配していたゲートをすんなりと出て、上手に競馬をしてくれました。次に繋がる内容だったと思います。
この土曜は福島で3鞍に騎乗します。4Rのホウオウマライアは追い切りに乗せていただきましたが、とても素直で一生懸命に走る馬。今回は牝馬限定戦にもなるので、イメージどおりなら頑張ってくれるはず。11Rのラヴタクティクスは長期休養明けの分がどうかも、上手に立ち回れる馬なので、福島コースは合っていると思います。2勝クラスにも目途が立つ内容あるレースにしてあげたい。
日曜も福島で3鞍に騎乗します。7Rのプリモプレミオの前走は、良発表とはいえ小倉の馬場が悪すぎて進みが悪かった。小回りは合っている印象なので、綺麗な馬場なら前進が見込めます。10Rのパンドラフォンテンは1週前追い切りに乗せていただき、しっかりと動かすことができました。気持ちが前向きで動きも良いので、レースを楽しみにしています。11Rのエアアンセムは9歳馬も重賞ウイナー。順調に使えている上で、ハンデも1キロ減。しっかりと研究して臨み、このタイミングで地力を引き出せればと思っています。
新型コロナの影響により、今週からは土日とも同じ競馬場でしか騎乗できないので、この2週は福島で頑張らせていただく予定です。先週は福島から阪神の番組だったので、行き帰りを含めて緊張感を持って移動しましたが、飛行機も新幹線もガラガラ。周りには数えられる人数しか乗っていませんでした。絶対に感染できない、自分達の職業からすれば自粛態勢はありがたいのですが、何とも言えない虚しさが込み上げました。騎手会から募金も設立されましたが、数少ない娯楽として競馬を楽しんでいただけるよう、責任感を持って週末に臨みます。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。