一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
オークスはスマイルカナに騎乗
2020/5/21(木)
先週はマイネルコロンブス(13人気)で勝つことができました。前半は行き脚がつかずも徐々に気持ちが乗ってきて、走るほうに向いてからは弾けてくれました。スタミナ十分でまだまだ奥がありそう。ギアをまだ隠している印象なので、この先が楽しみです。マイティウェイ(5人気3着)もガラッと替わった舞台で頑張ってくれました。ここ2走でクラスに目途が立ち、相手関係ひとつという段階まできています。
この土曜は東京で5鞍に騎乗します。6Rのアイノアの前走は昇級緒戦でしたが、ハナに行ってしぶとく頑張ってくれました。スタートが速くスタミナもあり、距離が延びることで、よりスムーズに自分のペースを作れそう。一生懸命に走ってくれる馬なので、改めて期待しています。9Rのヤマニンプレシオサは金曜朝に調教で感触を確かめます。初めての1800mですが、キャリアもあってペースが落ち着きそうな少頭数なのでこなしてくれませんか。
日曜も東京で8鞍に騎乗します。オークスのスマイルカナは先週までに中間の状況も報告してきましたが、とにかく順調にきており、馬の雰囲気は申し分ありません。控えめな最終追い切りも、霧に隠れてしまった先週で負荷をかけたので予定どおり。テンションを上げないことに重点を置いて、しっかりと息は整っています。小細工なしでやるべきことはひとつですが、真ん中の偶数番(4枠8番)と枠順も理想的。未知なる距離も、平常心で臨ませてあげれば上手に走り切れると思います。
4Rのマイネルエルガーは前走を見るところ、この短期間で力をつけている印象を受けました。100m延びるほぼ同じ舞台なので、スタミナを活かして前進させてあげたい。7Rのアナザークイーンは休み明けの前走がリフレッシュして、走るほうに気持ちが向いていました。広い東京コースのワンターンはより競馬がしやすいはずで、前走のまま気持ちを害さないアプローチをしてあげたい。10Rのウインフェニックスの前走は復調し、いい頃の走りをしているように見えました。昨年同時期に勝ち負けしているコースなので、その時のイメージに戻って臨みたい。12Rのベルウッドカザンは、2走前に乗せていただいた時は疲れがピークにきていた印象でした。そこからひと息入れての2戦目。2勝している舞台ですし、時計的にも巻き返せていいと思っています。
先週、一足先に茨城や新潟は緊急事態宣言が明けました。新潟競馬場への往復はいつもより車が多かったですし、聞くところによると新幹線も人が戻りつつあるとのこと。それでも東西トレセンの厳戒態勢は変わらず。今週は宣言が明けていない東京での騎乗になりますが、緊張感を持ちつつ今までやってきた全てをオークスにぶつけたい。ファンの皆さんがイメージする展開になると思いますので、テレビの前でのご声援、よろしくお願いします。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。