
一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
緊張が解けない状況が続きます
2020/7/9(木)
福島開幕週はマイネルレスペト(8人気)が最高着順。調教で乗せていただいた感触がそのまま競馬に繋がりました。2着争いを制して先にも繋がる内容だったので、改めて次走が楽しみです。マイネルコロンブス(10人気4着)は二度目の騎乗を終えても掴みづらい面があるのですが、エンジンがかかってからはオッという末脚。馬場は不問と感じますし、少しずつ力をつけている印象。近いうちに1勝クラスは勝ち負けの段階までいけるはず。

この土曜は福島で9鞍に騎乗します。 1Rのコスモマッドネスは使ってから良くなりそうな印象があった馬。この中間は乗っていませんが、コース替わりと相まって前進させてあげたい。4Rのコスモレペティールは距離延長のタイミングで崩れずに頑張ってくれています。福島2600mは合いそうなイメージなので、この馬もコース替わりでひと押しに期待します。5R(2歳新馬)のヒットザシーンは続けて追い切りに乗せていただき、少しずつ動けるようになってきました。時計的に悪くありませんが、血統からも晩生の部分があります。どちらかと言えば、使いながら良くなっていくタイプかもしれません。
9Rのマイネルテナシャスはレースで初めて乗せていただきます。ただ、これまでの成績やVTRから、いかにも福島1200mがマッチしそう。しっかり研究して、結果を出したい一頭です。10Rのコスモインザハートは休み明け2戦目だった前走で調子の良さを感じました。この馬もコース替わりがいいはずなので、定量戦でもと思っています。12Rのキングキャラットの前走は休み明けの分か動けませんでした。距離が延びるのは歓迎なので、右回りになるのは気になりつつもう一歩前進がありませんか。
日曜も福島で7鞍に騎乗します。 4Rのテンジュインは気性的な部分か成績にばらつきはありますが、勝てるだけの力を持っている馬。久々に乗せていただけることを楽しみにしています。6R(2歳新馬)のヴォンタリエールは金曜朝にゲートから乗せていただきます。1200mの初戦なので、しっかり出せるように感触を掴みたい。
8Rのミチビキは自分のリズムで走りたい馬で、福島コースは合っています。ただ、極端な道悪になると進みが悪くなってしまうので、稍重くらいまでが理想です。9Rのバトーブランは昇級になりますが、力をつけてきている段階。キャリアもあり、斤量面の恩恵とかみ合えば頑張ってくれそうです。12Rのマイネルワルツは前走から少し間隔が空いて、時計面の短縮が課題。自己条件で次にも繋がるレースをしてあげたい。

先週は自分も乗っていた2つのレースで落馬事故がありました。馬場と暑さなども人馬に影響してくる時期なので、レース外のコロナ禍しかり、より緊張感を持って臨んでいきたい。週明けの13日、14日はセレクトセールがありますが、ジョッキーは規制により今夏のセリには顔を出せません。交流の場としても毎年楽しみにしているのですが、まだまだ感染者が増えつつある状況を思えばやむを得ません。グリーンチャンネルやネットを見ながら、ファン目線で楽しみたいと思っています。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。