一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
新潟記念はアイスストームに騎乗
2020/9/3(木)
先週はソスピタ(3人気)で勝つことができました。休む前の勝ち方が良く、以前に乗っていたジョッキーに癖なども聞いたので、いいイメージを持って臨めました。スッと好位につけられるセンスと、最後にひと伸びする勝負根性を兼ね揃えた馬です。アドアステラ(3人気3着)は使って型通りに良くなっていました。追い込みづらいコースと流れで、よくあそこまで差してくれました。直線坂があるコースになれば、まだ確実に前進できると思います。新潟2歳Sのブルーバード(5人気8着)はゆっくりしたスタートの馬が多く、少頭数も相まって上手く脚がタマらなかった印象。初となる外回りの距離延長で、掛かっているわけではないものの、上手に走ることができませんでした。馬込みに入れられればまた違っていたはずで、この一戦だけで適性に関しては結論が出せません。
夏競馬最終週になる土曜は新潟で3鞍に騎乗します。 5R(2歳新馬)のフカイは今週の追い切りに乗せていただきましたが、気持ちが前向きで仕上がりも良さそう。初めての場所に戸惑わなければ頑張ってくれると思います。8Rのマイネルナイペスも追い切りに乗せていただいて状態の良さを確認しています。1200mが忙しい印象も受けるので、前半の位置取りと展開面を上手く読んでいきたい。12Rのスリリングドリームの前走は休み明けの分もあったのでしょうか。気持ちが先走ってしまうタイプでもあり、距離延長して折り合いに気をつけながら前々で運んであげたい。
日曜も新潟で8鞍に騎乗します。新潟記念のアイスストームは重賞でも接戦のところまできている実力馬。自分としてもいい流れできた開催で、オーラスも重賞に乗せていただけることに感謝を申し上げたいです。良馬場であればどんな競馬でもこなせる印象ですが、しっかりと研究して最善を尽くします。1Rのコスモザクロは初戦も期待していましたが、周りに気を使ってしまって力を出し切れぬままゴール。慣れさえ見込めれば前進できる馬です。2Rのマイネルリリーフの初戦は体の緩さもあってスタートから出て行けず。この馬は状態面で使った上積みが見込めそうなタイプです。
4Rのマイネルサブマリンはやっと気持ちに体が追いついてきました。体が増えていたのは成長分で、何とか勝たせてあげたい一戦です。1R(2歳新馬)のマカラプアは追う毎に状態を上げて、動きが良くなってきました。まだ体の緩さこそありますが、素直で前向きで初戦から力を出せそうな態勢です。7Rのマイネルイヴィンスは再転入緒戦の前走が、1勝クラスにも目途が立つ内容。あらゆる面で上積みが見込め、前進に期待しています。8Rのマイネルインパクトは体が緩い面があって器用な競馬ができず、能力だけで走ってきたという印象。今回の休養が馬の成長に繋がっているはずで、どこまで良くなっているか楽しみにしています。
無観客競馬が続く間に、早いもので来週は秋の中山開幕週。そのメインとなる京成杯オータムHにスマイルカナが出走を予定しています。1週前追い切りは強めに負荷をかけてみましたが、なかなか反応が良くて、夏場のリフレッシュ放牧が成長に結びついたという印象。当週はオーバーワークを避けて息を整える程度にすると思います。最終調整後の感触と意気込みは、改めて来週の更新で書かせてもらいます。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。