一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
京成杯オータムHはスマイルカナに騎乗
2020/9/10(木)
夏競馬最終週はマカラプア(7人気)が最高着順。追い切りで目立つ時計こそなかったものの、やる毎に動きが良くなってきており、期待していました。当日はテンションが高くレースに行くまで不安もありましたが、競馬では上手に走ってくれました。揃ったメンバーに入っての2着でしたし、平常心でさえ臨めれば次走はチャンスだと思います。新潟記念のアイスストーム(13人気12着)は道中リズム良く運べていましたが、直線に向いてからの流れがかみ合わなかった印象。最終週なのに硬くて前が止まらないという馬場で、しっかり脚は使っているのですが…。雰囲気があっていい馬でしたし、重賞で通用するだけの素質は感じました。
開幕週の土曜は中山で4鞍に騎乗します。 2Rのベルリーソは使いながら良くなっており、着順ほど悪いイメージはありません。今回はダートに替わるので、変わり身を見せてほしいところ。血統も走法も向いてくれるとは思います。3Rのスノウリリーの初戦はテンションや口向きに課題があり、試行錯誤の部分がありました。右回りのほうが良さそうなイメージもあるので、レースを経験したことと相まって前進を見込んでいます。5R(2歳新馬)のマイネルヒッツェは2週前に乗せていただきましたが、操縦性が高くていい馬。先週除外で延びているのですが、より仕上がりも進んだはずで、初戦から力を出してくれると思います。7Rのレオは2度乗せていただいて、1勝クラスでもやれる感触を掴めています。間隔が空いている分がどうかも、使い込むよりはフレッシュな状態のほうが走れそうなタイプ。大きく巻き返したいタイミングです。
日曜も中山で8鞍に騎乗します。京成杯オータムHのスマイルカナはここ目標に帰厩して順調に乗り込めており、先週負荷をかけて、今週状態を整える程度というのは予定どおり。リフレッシュ効果と少し涼しくなってきたのもいいのか、馬は元気一杯です。同型のライバルもいますが、有利に働く斤量さもあるので、自分のリズムを崩さず進めれば自ずと結果はついてくるはず。先もある馬ですが、好ダッシュを決めたい秋緒戦です。桜花賞で道悪はこなしているので、馬場状態に関しては何も心配していません。1Rのロデオスターメイトの初戦は頼りなさもありましたが、先週乗せていただいて、使われての上積みを感じました。距離も変わるので強気なことは言えませんが、次に繋がるようなレースにはなると思います。
2Rのベルステラは集中力が課題。距離が延びて追走は楽になるはずなので、気持ちが途切れないようなアプローチを心掛けます。3R(2歳新馬)のサザンジンジャーは新潟デビュー予定が除外で延びています。そこからまた乗り込めているのが、むしろプラスに出てくれませんか。7Rのマイネルプリンチペは新潟の2戦でしっかり走ってくれました。中間乗っていないので状態は明言できませんが、状態さえ維持できていれば、中山でも勝ち負けまでいけるはず。12Rのアルミューテンは2走前に乗せていただきましたが、主たる敗因は道悪にあったと思います。馬場が悪いと進みが悪くなってしまうので、掘れていない開幕週ならこなしてくれると思いつつも、週末の天気予報は気になっています。
無観客のままあっという間に夏競馬が終わってしまいました。例年、夏の新潟競馬では苦戦しているのですが、リズム良く乗り切れたのが自分としては何より。先週までで21勝と、昨年の勝ち鞍を現時点で超えているのも、秋の中山開幕週に向けて気分が違います。弾みをつけるのに有難い番組にしていただいたので、しっかりと結果を出せるように頑張ります。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。