一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
今週は福島で騎乗します
2020/11/5(木)
先週も勝つことができず、2頭の4着が最高着順でした。ヒットザシーン(8人気)は血統的に晩生なところがあって、使いつつやっと芯が入ってきました。勝ち馬とも0秒4差で、次に繋がる内容だったと思います。初めて乗せていただいたマイウェイアムール(8人気)は凄くいい馬で、脚をタメたほうが弾けてくれる印象でした。長くいい脚を使ってくれましたし、掴めた感触があるので、是非ともまたチャンスをいただきたい一頭です。アルテミスSのユーバーレーベン(4人気9着)は向正面でぶつけられた後にごちゃついてしまって、枠の並びも然りで、やろうと思っていた競馬を全くさせてもらえず。本当はもっと流れに乗せていきたかった。粗削りながらも追ってからいい脚を使ってくれましたし、かなりの素質を秘めていることは間違いありません。ここでの結果は悔やまれますが、すぐに巻き返していける馬です。
この土曜は福島で6鞍に騎乗します。 2Rのコスモマインの初戦は抜け出してからフワフワしてしまったのですが、前走は最後まで真面目に走れていたと聞いています。スタートも改善しており中間の調教の感じも良さそうなので、勝ってこの週末を勢いに乗せたいところ。その他の5頭に関してはレースで初めて乗せていただきます。予習は始めていますが、しっかりと研究して期待に応えられるように最善を尽くします。
日曜も福島で8鞍に騎乗します。1Rのマイネルレスペトはデビュー戦が同じ舞台で2着。ここ2戦もしっかり走れているので、3走前(15着)のようなことはないと思います。流れに乗せて勝ちパターンに導きたい。2Rのコスモサンレミもデビュー戦が同コースで2着。周りに気を使って走るようなところがあるのですが、前走の千直戦がいい刺激になったはず。いつ勝ってもという能力はあるので、このタイミングで決めてあげたい。3Rのコスモコラッジョは色々な条件を使って、コーナー4つのダート戦が最もマッチしている感触。コンスタントに使って状態はキープできており、適性的に変われるところだと思っています。
5R(2歳新馬)のフローラルドリームは今週の追い切りに乗せていただきましたが、凄く前向きで新馬向きのタイプ。調教どおりに走ってくれれば、まずいい競馬ができるはず。7Rのアルマセグレートは1週前に乗せていただきましたが、動きからは前2走の着順が信じられないほど。状態は上向いていると聞いており、自分の感触も同様。キッカケを掴んであげたい一戦です。12Rのサイドストリートはスピードがあって、福島のこの条件で2勝しています。芝では案外の結果だったようですが、ダートで自分の型に持ち込めば十分にやれると思います。
なかなか苦戦していますが、来週からはまた東京に戻って頑張ります。そのメインは日曜のオーロカップに出走することになったスマイルカナ。間隔こそ詰まりますが富士Sの疲れなく元気一杯で、何とかしたいオープン特別参戦。前走は自分の競馬ができず崩れましたが、もし主張する馬がいるのならば、控えることなども念頭に入れて臨みたい。体も戻ってここまではとにかく順調なので、最終調整後の感触を次回の更新で書かせてもらいます。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。