一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
土曜は中山、日曜は中京で騎乗します
2020/12/10(木)
中山開幕週は勝ち切ることができずも2着が4回ありました。初めて乗せていただいたマイネルタイムリー(5人気)は3走前から着けているブリンカーが効いていました。終始いい手応えで立ち回ってくれて後続に5馬身ですから、その9馬身も前にいる勝ち馬が強すぎたという印象です。ステディシュシュ(5人気)は前走もそうでしたが、どうしてもスタートが良くないんです。言うなれば注文はそこだけで、もう少し前半でついていけるようなら、次走にでも差し切れると思います。馬は更に良くなっており、改めて能力を感じました。
コスモマイン(2人気)は内枠が仇になり、前にいた馬が最後まで進んでいかずに、追い出しを待たされてしまった格好。それでもメンバー最速タイの上がりを使って、力があるところを見せています。何としても次で決めてあげたい。フワトロ(13人気)は緩い馬なので、焦らず位置を取ってから終いの競馬をしてほしいというオーダー。いいアドバイスをいただいて流れも向き、一瞬は勝ったかなと思ったんです…。惜しむらくは勝ち馬の脚だけ違いましたが、2勝クラスでもやれるという力を見せてくれました。
この土曜は中山で10鞍に騎乗します。 1Rのロデオスターメイトは今週の追い切りに乗せていただき、非力だった馬に少し体力がついた印象を受けました。もう一歩の前進に期待したいところです。3Rのヒットザシーンの前走は、メンコを外したことで大分行きっぷりが良くなっていました。あの内容であれば、中山替わりがいいほうに向くと思います。8Rのマイネルナイペスはどうしても1200mだとテンに置かれてしまうところがあるんです。昇級でも相手なりに頑張れるタイプだと思うので、何よりも流れが向いてほしい。
9Rのピュアエールは1200mでも距離が気持ち長い気はします。いかにして前半で脚をタメられるかがポイントでしょうか。10Rのマイウェイアムールはハンデ戦で52キロの斤量がいいですね。かなり久々になる中山コースがどう出るかですが、前走は体が増えていた分で反応しきれなかったと見ています。距離自体は問題ないと思うので、そのあたりが課題だと思います。11Rのマイネルユキツバキはもっと走れる馬なのですが、思いのほか良化がスロー。舞台は最も合っているので、そろそろキッカケを掴んであげたい。12Rのレオンドーロは前2戦の内容が良く、この中間も状態がいいと聞いています。中山に替わるのもプラスなので、勝ち負けを意識しているタイミングです。
日曜は中京で6鞍に騎乗します。5R(2歳新馬)のコスモクロシオは2週続けて追い切りに乗せていただきました。いいモノを持っていますが現状は周りに気を使うので、次に繋げてあげる内容を第一に考えたい。8Rのコスモブルーノーズは小倉で乗せていただいた頃を考えれば、北海道での成績が不思議になるほど。素質はあるはずなので、この間隔がいい休養になっていればと思います。9Rのコスモオリの前走は地方の砂が合わなかったのでしょうか。集中して走らせてあげれば、1勝クラスでも足りる馬だと思っています。10Rのカイトゲニーはレースで初めて乗りますが、特に難しいところはないと聞いています。少頭数の牝馬限定戦でもあり、厩舎サイドや前任の感触からも期待して臨みます。
今週は調教師試験の発表があり、美浦から3人のジョッキーが合格しました。皆さん猛勉強されていましたし、それが成就して本当に凄いなと思います。蛯名さんはあれだけ成功されたジョッキーですから、調教師としても大成されるイメージしかありません。西田さんは競馬を凄く研究されていて、鋭い分析をする方。それこそ調教師が向きそうなので活躍してもらいたいです。村田騎手は年齢がひとつ下なので、同世代として頑張ってほしい。かくいう自分も先輩騎手が少ないくらいの年齢ですが、調教師になりたいとは考えたことがありません。ジョッキーのまま燃え尽きるほうが向いていると思うので、まだまだ後輩には負けたくないし、負けないように乗っていきます。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。