一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
通算500勝で1年を締めくくる!
2020/12/25(金)
先週はスマイルカナ(1人気)でターコイズSを勝つことができました。返し馬はいつもどおりの先出しで落ち着いていけましたし、ゲート裏のテンションも許容範囲。レースは途中から1頭行ってもう1頭という展開になりましたが、馬が本当に冷静で3番手でスッと折り合ってくれました。あの納まりが最後のひと伸びに繋がったと思いますし、前走の我慢や調教で教えてきたことが実になってくれた格好。本質的に中山マイル戦も合っており、ハナという着差以上の内容だったと思います。春くらいからの始動になると思いますが、来年はより大きいところを狙っていきたいですね。
この土曜は中山で5鞍に騎乗します。 1Rのスイートフィルの初戦は周りに気を使って走っていましたが、ここに繋がる内容だったと思います。2戦目のレース慣れでスムーズに運ぶことができれば前進できる感触です。3Rのマイネルスキーブは勝負所でモタモタしてしまいましたが、前2走を思えば好位で頑張れています。二度続けての騎乗とコースでもう一歩前進を見込みたい。
5R(2歳新馬)のコスモセレナは一度追い切りに乗せていただきましたが、調教どおりに走れれば競馬でもやれそうな感触を得られました。除外で1週多く追えたのもプラスに出そうで、新馬向きのタイプではないでしょうか。9Rのマイネルミュトスは久々に乗せていただきますが、何度もこのクラスで好走しており、かみ合えば勝てる力はある馬。不器用で中山なら2200mというタイプだと思うので、仕掛け所に気をつけてより上位を目指します。
日曜も中山で8鞍に騎乗します。2Rのマイネルタイムリーの前走は相手が強すぎたというだけで好内容でした。同じだけ走ればいい勝負になるはずで、乾いた馬場でやれるのもこの馬とすれば歓迎です。3Rのハイレジリエンスは難しいところがあるそうなので、金曜朝に跨って感触を確かめます。見ても聞いても能力が高いことは間違いなく、そこでよりイメージを高めたいですね。
7Rのマイネルイリャルギは中間の追い切りに乗せていただきましたが、当日までに絞れていればいいなという感触。相手なりに頑張れるタイプだとは思うので、懸念があるとすればやはり久々です。8Rのコスモジェミラは、改めてハンデ51キロがいいですね。凄くスタミナがあり、長くいい脚を使えるタイプ。関西馬で初コースなので、ハンデ戦と相まってしぶとさを引き出してあげたい。12Rのマイネルアルケミーは力がある馬なのですが、成績にもバラつきがあるように当日の気配が鍵。今年最後のレースになるので、人馬で集中して臨みたい。
2020年は年頭から小倉に滞在して気分を変え、昨年に比べると1年を通してリズム良く乗れたと思っています。秋の東京で停滞してしまったのは悔やまれるところですが、ふしぶしでスマイルカナには助けられました。年始と年末に重賞も勝たせてもらい、本当に頭が下がる思いです。そして、最後にどうしても成し遂げたいのが年内でのJRA通算500勝達成。あと勝利ひとつなんです。新年に持ち越しとならぬよう頑張りますので、背中をひと押しとなるご声援を、心の中でお願いします。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。