一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
フェアリーSはラストリージョに騎乗
2021/1/7(木)
新年初日はレオンドーロ(3人気)の勝利でJRA通算500勝を達成することができました。ここ数戦と変わらない状態の良さを返し馬で感じ、大外枠でしたが、いつでもゴーサインを出せる位置で脚をタメられたことが勝因だと思います。この馬の持ち味である、長くいい脚を使わせることができました。本当は5Rのコスモマイン(1人気)で決めておきたかったのですが、勝ち馬に豪脚を使われてしまっての2着。当面の強敵と見ていたスーパービームは交わせたのですが……。それでも同日中に決めることができたのは、馬と関係者の助けがあってこそだと感謝しています。
この土曜はまさかの5頭除外で1鞍。中山で6Rのマイネルホップに騎乗します。前走のダートも悪くなかったのですが、道中進みが悪いところがあったので、改めて芝に戻ります。3走目とコース替わりで前進させてあげたいタイミングです。
日曜も中山で5鞍に騎乗します。1Rのマイネルアミスターの前走は、暑さに堪えて調子を落としている印象でした。立て直して2度目になるダート戦。2走前の状態にさえ戻っていれば巻き返せるはず。11Rのマイネルユキツバキはもっと走れるはずなのですが、なかなか競馬とマッチしてくれません。決して状態は悪くなく、いつ走ってもおかしくないと思っているので、今回も期待を持って臨みます。12Rのコスモヨハネの前走は案外の内容でしたが、中山1600mという舞台は悪くありません。今の馬場はマッチしそうで、もっと前進させられるイメージです。
祝日開催の月曜も中山で7鞍に騎乗します。フェアリーSのラストリージョは追い切りに乗せていただきましたが、変わらずに元気一杯。1600mは幾分長い感じもありますが、競馬が上手な馬なので、好位でロスなく脚をタメてあげればこなせるはず。芝ダートは問わないタイプですし、立ち回りひとつでチャンスはあると思っています。3Rのコスモコラッジョの前走は14キロ増で馬体に余裕がありました。少しでも絞れていれば、2走前の内容から十分にやれるはず。当日の気配ひとつだと思っています。5Rのバラードインミラノは追い切りに乗せていただきましたが、使った分の上積みがあるようで、しっかりと動けています。気持ちが入りすぎるところをレースまでに落ち着かせてあげれば、自ずと結果がついてくるレベルの馬です。
7Rのマイネルイリャルギの前走は、休み明けかつ昇級緒戦と思えば目途が立つ内容。間隔こそ詰まりますが、使った上積みで前進可能だと思っています。10Rのコスモインペリウムは馬体こそ大きいものの、気持ちが繊細。この多頭数で、いかにスムーズに立ち回れるかが鍵になると思います。能力は足りるはずなので、とにかくストレスをかけないように乗ってあげたい。12Rのレットミーアウトはブリンカー効果で集中力が出てきました。今なら中山コースも合いそうで、勝ち負けを意識できる段階。3日間開催の締めくくりに期待しています。
改めて500勝させていただいた喜びを書かせてください。キャリアの途中では勝てない年もあり、当時の苦しみを思えば夢のような話です。全ての関係者様に感謝しかありません。今後も怪我がないように一鞍一鞍を積み重ね、次なるメモリアルに向けて努力していきます。今週からしばらくは無観客競馬(中山)に戻ってしまいますが、ファンの皆さんからの後押しを忘れずに全力で臨みます。本当にありがとうございました。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。