一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
アメリカJCCはナイママに騎乗
2021/1/21(木)
先週は勝つことができず、悔しい2着が2回ありました。ウィズザワールド(7人気)は馬が何も躊躇せず、競馬を経験したことがあるかの立ち回りをしてくれました。あそこまでいって勝てなかったのは残念ですが、最後もしっかり脚を使っており今後が楽しみになりました。コスモマイン(2人気)は調教でも1頭で走れるようになるなど成長が伺えたため、強気に自分から動く競馬をさせたのですが……。ステッキへの反抗や物見ではなく、抜け出してからの気持ちの問題だったと思います。ヨレてしまった後も他馬が来るとまた走る気を出したように、余りある能力があるだけにもどかしい。自分としては、何よりも後続に迷惑をかけてしまったことを反省しています。今後は走路試験もありますので、課題が修正できるように1からやり直します。
この土曜は中山で10鞍に騎乗します。1Rのステディシュシュはダートで惜しい競馬が続いています。どうしてもスタートが上手ではないのですが、順調に使ってきた強みでよりスムーズな立ち回りをしたい。勝ちたいタイミングです。3Rのカラハリの前走は、少し間隔が空いていた分なのか馬が戸惑っている印象でした。詰めて使えるのは歓迎で前進を見込んでいます。4R(新馬)のヴィクトリアブーケはゲート試験から追い切りまで乗せていただいています。能力を感じつつもテンションが高くて気難しい面があるので、レースを迎えるまでいかに落ち着かせてあげられるかが鍵になりそう。
8Rのコスモオリはごちゃごちゃすると嫌気がさして進まなくなるところがあります。前走は外枠が良かったのでしょうね。枠なりにスムーズな競馬を心掛けます。9Rのマイネルステレールは久々の2000mになりますが近走は上手に走れており、この距離でも流れに乗れると思います。少頭数と時計がかかる馬場も味方してくれませんか。10Rのフワトロの前走は展開が向きつつも、イメージどおりの走りをしてくれました。この馬は雨が降るのは歓迎ではありませんが、続けて乗せていただけるメリットを活かしたい、12Rのマイネルミュトスの前走は勝てなかったこと以外は理想的な競馬でした。ベストのコースとマッチしそうな馬場で、仕掛け所ひとつだと思っています。
日曜も中山で7鞍に騎乗します。アメリカJCCのナイママは2週続けて追い切りに乗せていただきましたが、元気一杯で昨年同時期といい意味で変わりません。改めて相手も強化しますが、一緒にクラシックを戦い抜きましたからね。馬場が悪くなる分には問題ないので、自分としては久々になるこの馬とのチャレンジを楽しみにしています。1Rのレラシオネスの初戦はスタートで躓いて前半ロスしながらも、追い出してからはしっかりと脚を伸ばしてくれました。使って良くなりそうなタイプなので、あのレースを覚えてくれていれば前進が見込めます。
3Rのコスモコラッジョの前走はいい内容で2着でしたが、どうしてもゲートの中で安定しないので課題はスタート。好位で上手く脚をタメられれば、相手関係ひとつという段階にあります。5Rのリチェルカは新馬以来の騎乗ですが、一連の内容から1800mは忙しい印象がありました。距離が延びる分には問題ないので、集中して走らせてあげられれば前進が見込めます。9Rのスウィートブルームは休み明けでの昇級緒戦ですが、追い切りをしっかりこなして仕上がりは万全。前走は道悪で強い競馬をしており、このクラスに入っても頑張ってくれるはず。初コースでも中山は向きそうなイメージがあります。
11都府県が緊急事態宣言下で厳しい状況が続きます。自分も競馬以外は自粛ムードで、少し前に今更ハマっているとお伝えしたスクールウォーズは全26話分をしっかりと見終えました。最近はほぼ出揃った今クールのドラマを一通り観て、知ってるワイフと天国と地獄~サイコな2人~が面白くなりそうだなと思っています。余談になりましたが(笑)、今週はきっちりと勝ち切って東京開催に勢いをつけたいですね。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。