一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
気が引き締まるシーズンです
2021/3/4(木)
中山開幕週はアドアステラ(2人気2着)が最高着順。流れも向いたかと思いましたが、あれで押し切られてしまったのですから勝ち馬が強かった。体も絞れて良くなっており、堅実に頑張ってくれています。コスモオリ(4人気3着)は中山コースも合っているのですが、集中して最後までしっかり走ってくれました。いよいよチャンスが近づいてきたように思います。中山記念のコスモカレンドゥラ(12人気6着)は思ったより行き脚がつかなかったものの、その分としても最後は今までにないほど伸びています。時計が速かったことを思えば対応してくれましたし、重賞でもかみ合えばという感触を得られました。
この土曜は中山で6鞍に騎乗します。1Rのウィズザワールドは2度使って中山のほうが合っているという感触。状態も2着だった初戦に近いということなので、このタイミングで巻き返したい。5Rのコスモアディラートは初戦の内容が凄く良かった。先行力があるのでコース替わりも気になりませんし、2戦目で前進あるのみだと思っています。6Rのフェアメーゲンは間隔が空いた分で、少しでも成長していてほしいところ。思い入れがあり走ってほしい血統なので、次に繋がるレースにしてあげたい。
8Rのコスモスタックは東京なら中山向きというタイプ。色んな競馬ができるので、その中でもマッチする立ち回りを選択したい。9Rのマイネルステレールは頭が下げるほど毎回一生懸命に走ってくれます。そんな中でも中山2500mがベストなので、調子落ちさえなければ崩れないと思います。12Rのコスモハヤテは2勝クラスに入ってから厳しい競馬が続いています。勝っているコースでキッカケを掴みたいところです。
日曜も中山で6鞍に騎乗します。2Rのアナザーヴィータの前走は結果として2100mという距離が長かった。ベストの中山1800mに戻って期待しています。5Rのマイネルスキーブも毎回一生懸命に自分の力は走ってくれます。状態さえキープできていれば、十分に勝ち負けできる舞台です。
7Rのマイネルレンカの前走は数字どおり体に余裕がありました。1800mも少し長い感じがあるので、上手く脚がタマるような乗り方をしてあげたい。8Rのコスモヨハネの前走は悪くなかったのですが、よーいドンの展開になると位置取りの差が出てしまいます。合っている中山かつ雨で時計がかかる馬場に期待したいところです。9Rのマイネルキラメキの前走は着順ほど悪くない感触がありました。3勝クラスに入ってどうしても苦戦しているのですが、何とかキッカケを掴んであげられませんか。
先週は調教師になられた蛯名正義先生の騎手引退式、中山記念を最後に(チャレンジCを勝たせてもらった)マイネルハニーが引退しJRAの誘導馬になることが決まるなど感慨深い出来事がありましたが、今週は新人ジョッキーがデビューします。毎年の事とはいえ、とりわけこの時期は初心に戻ろうと気が引き締まります。何としても勝利を上げたいところですが、来週日曜はフィリーズレビューでブルーバードに騎乗するため、阪神に遠征する予定です。今週はウッドでしっかり追い切りましたが、どんどん調子が上がってきている段階。久々にお客さんのいる前での競馬になりそうなので、いい走りをお見せできればと思っています。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。