一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
桜花賞はブルーバードに騎乗
2021/4/8(木)
先週はバンブトンローズ(10人気3着)が最高着順。休み明けを一度使って状態が上向いており、乾いた馬場でやれたのも良かった。もうひとつ良くなりそうな感触があるので、引き続き次走も楽しみです。ダービー卿CTのスマイルカナ(1人気14着)は調教の動きが良く期待していたのですが、これまでコンスタントに使っていて長く休ませたのが2歳時以来だったので、気持ちと体が切り替えられなかったのかもしれません。人気に支持していただきながら何もないままのゴールというレースになり、申し訳なく思っています。このまま終わるような馬ではありませんので、次走のヴィクトリアマイルに向けて、しっかりと調整していきたいと思います。
この土曜は中山で7鞍に騎乗します。3Rのマイネルアミスターはいい馬なのですが、コンスタントに使えていないところが弱み。何とか権利を取って、次走に繋がるようなレースにしてあげたい。5Rのマイネルスキーブの前走はテンションが高くてゲートの中で落ち着きがなく、いいスタートを切れませんでした。前半から流れにさえ乗せてあげれば、勝ち負けできるだけの力を持っています。6Rのコスモコラッジョはコンスタントに使われてきたので、今回の間隔がいいほうに向いてくれませんか。コースを問わない馬ですが、その中でも中山1800mは合っており、もう決めてあげたいタイミングです。
8Rのマイネルレンカは7歳馬にしてここ2戦がしっかりと走り切っているので、反動がなければいいなと思っています。1勝クラスは勝てる力がありますので、感触を掴んだ脚をタメる競馬でもうひとつ上を目指したい。9Rのステラドーロは前走で1勝クラスを勝ち、調教の動きも抜群。ここにきてしっかりしてきました。昇級緒戦になりますが、中山芝2000mは本当に合っている条件です。12Rのトッカータは折り合いと展開面につきる馬。3走前が示すように、中山ダート1200mならかみ合えばチャンスがあります。
日曜は阪神で2鞍に騎乗します。桜花賞のブルーバードは3分の2の抽選をくぐり抜けての出走。まだ上もあるという雰囲気ではありますが、フィリーズレビューを使ってかなり状態は良くなっています。動きや息遣いがガラッと変わりました。今の状態で1600mなら追走に苦労するようなことはないはず。実績は1200m、1400mですが、むしろ距離延長がプラスに出てくれませんか。もちろんG1で相手も強くなりますが、枠順(2枠3番)も理想的なので期待しています。
4月5日(月)に静内エクリプスホテルで岡田繁幸さんのお別れの会に出席させていただきました。コロナ対策もあって人が止まらない流れの中での献花でしたが、あの場に行ってもまだ信じられない気持ちになり、繁幸さんとまだまだお話をしたかった。ただ、色々教わってきたことが、改めて頭の中で巡っています。しっかりと思い返して結果で恩返ししていきます。ファンの皆さんにも支持していただいたスマイルカナでいい報告をしたかったのですが、この悔しさを次走にぶつけて巻き返したいと思います。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。