一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
ヴィクトリアマイルはスマイルカナに騎乗
2021/5/13(木)
先週はコスモホクシン(3着)で勝つことができました。今までのレースと乗っていたジョッキーに聞いた話からも、しぶとく脚を使う馬だと思っていました。イメージしていたとおりのレースができ、最後は2着馬に一度出られてから差し返してくれました。まだ体が緩いので、そのあたりがパンとしてくれば昇級しても頑張れる馬です。ソスピタ(9人気4着)は東京1400~1600mが一番合っていますね。中1週でも良くなっていましたし、東京開催中に何とかしてあげたい気持ちです。初めて乗せていただいたマッスルビーチ(6人気5着)は、しっかり脚を使ってくれました。展開面がかみ合えば、このクラスでも頑張れる馬だと思います。
この土曜は東京で4鞍に騎乗します。2Rのサザンジンジャーの前走は不利があっても頑張っており、内容的には悪くありません。1600mへの距離短縮が合いそうなイメージなので、頑張ってくれると思います。3Rのカラハリは中間も順調に来れており、体が戻っていい雰囲気です。ここ数戦の着順は案外ですが、いつ巻き返せても不思議ではありません。4Rのバラードインミラノの前走は、休み明けでも直線長くいい脚を使ってくれました。使ってからも順調で、追い切りの感触などからも勝ち負けを意識しています。5Rのホークピラーの初戦は追走に苦労しました。立て直しての距離延長で競馬はしやすくなりそうなので、成長力に期待したい。
日曜も東京で4鞍に騎乗します。ヴィクトリアマイルのスマイルカナは久々の前走時も調教の感じは良かったのですが、この馬とすれば長い休みの影響があったのだと思います。使ってからはこのレースを目標にしっかり乗り込んで、1週前からはいつものパターンで仕上げました。毎回調教は動けてしまうので大きく変わった印象は受けないのですが、牝馬同士であればほとんど崩れたことはありません。速い馬の出方を見つつスムーズな競馬を心掛けて、自分のリズムで走らせて巻き返したい。
1Rのキョウエイアップの前走は、もっと走れると期待していました。反応がもうひとつだったのは休み明けだった分だと思うので、詰めて使える今回こそは変わってくれるはず。2Rのプラチナレディは前回乗せていただいた2走前は距離が忙しかった印象。マッチしそうな1600mの牝馬限定戦で前進に期待したい。3Rのアナザーヴィータは集中力が途切れずに走らせられるかどうか。能力だけ走ってくれればいつ勝負になってもという馬です。
先週日曜は久々の中京遠征でしたが、いい息抜きになったと言いますか、流れを変えるキッカケになる騎乗ができました。何としてもという大事なレースの前で、リズムが掴めたような気がしています。コロナ第4波の最中なので細心の注意を払って移動しましたが、往復ともに新幹線はガラガラ。それでも報道されているような感染力ですから恐ろしさを感じます。ネット予約の人数限定ではありますが、今週からは東京競馬場の入場も可能になるので、購入が叶ったお客様は万全の対策でのご来場をお待ちしています。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。